持続可能性が旗印 環境に配慮、スタジアムに工夫―W杯サッカー・祭典待つカタール

東京, 8月13日, /AJMEDIA/

 サッカーのワールドカップ(W杯)に限らず、過去の大規模競技大会ではスタジアムなどの建設をめぐり、環境破壊や後利用の問題が持ち上がった。カタール大会は持続可能性が旗印。環境に配慮した取り組み、最新の空調システムなどの特色が見られる。
 8会場はドーハ中心部と近郊に位置し、スタジアム間の距離は最長でも75キロ。W杯史上「最もコンパクトな大会」がうたわれ、移動の負担はない。三菱重工業など日本企業も携わった地下鉄が主要な交通手段となり、中心部の会場は駅と隣接。郊外の施設には低燃費バスなどを組み合わせる。
 競技場建設で目を引くのはコンテナ製のスタジアム974で、大会後は解体して部材の再利用を予定。決勝の舞台となる収容8万人のルサイル競技場は、周辺エリアと一体となって開発され、大会後には学校や病院などが入る複合施設へと変わる。負の遺産にしないための計画が施された。
 酷暑への懸念から各会場に冷却システムが完備され、ピッチ内の気温は22度前後に維持される。招致段階から関わり、空調システムを設計したカタール大のサウド・アブドルアジズ教授は「外気を冷やして壁面や足元の通気口から出す。資源を無駄遣いせず、適切な気温を保てる」と強調。技術面でもアピールする。
 スタジアム周辺の植物の水やりには再利用水が使われ、節水型の水栓や水漏れ検出システムを導入。欧米を意識した文言をちりばめた戦略とも取れるが、今後のW杯開催においてもベンチマークとなる視点の一つだろう。大会組織委員会のハッサン・タワディ事務総長は「将来の大規模イベントのプランナーが参考にするべき案だ」。成果を披露する日は近い。

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