心の病治療に幻覚キノコ 豪政府承認、MDMAも

東京, 2月18日, /AJMEDIA/

オーストラリア政府は7月から、特定の心の病の治療に、幻覚作用のある毒キノコの成分「サイロシビン」と合成麻薬MDMAを処方することを承認する。一般的な薬が効かない患者には有効との期待がある一方、専門家からは「治験データが不十分」と拙速を懸念する声も上がっている。
 豪薬品・医薬品行政局(TGA)は今月3日、通常の抗うつ剤が効かない治療抵抗性うつ病にサイロシビン、心的外傷後ストレス障害(PTSD)にMDMAを処方できるようにする方針を決定。いずれも公的に認定された精神科医が、適切な治療体制の下で使用することを条件としている。個人使用や他の疾患への流用は認めない。
 サイロシビンは、「マジックマッシュルーム」とも呼ばれる幻覚キノコのシビレタケなどから抽出される。MDMAとともに、TGAはこれまで研究目的のみに使用を認めてきたが、国内外の治験で効果が判明したとして、処方の承認に踏み切った。対象疾患で通常の薬剤が効かない患者は豪州内で数千人に上り、TGAは「新たな治療法に道を開く必要がある」と意義を強調している。
 米科学情報サイト「ワイヤード」によると、サイロシビンは米オレゴン州で、MDMAはスイスで限定的な処方が認められているが、国レベルで両方を承認するのは異例という。ただ、医療関係者らの間からは「治験の症例が少ない」「長期間にわたってデータが収集されていない」といった指摘が出ている。

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