引っ越しが予約できない いったいなぜ?

東京, 03月24日 /AJMEDIA/

さて、今月もあと1週間。新年度から環境が変わるため、今まさに、引っ越しの準備を進めているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例年、引っ越しが集中するこの時期ですが、ことしはさらに予約が取りづらい状況もあるようです。

背景を取材すると、物流業界が直面するあの問題が見えてきました。

「残念ながら受けられない状況です」
「引っ越し予定日はいつごろでお考えですか?」
「3月に引っ越しされるとなると今の3倍くらいは料金あがりますね」

都内の運送会社には年度末を前に引っ越し予約の電話が殺到しています。

全国で4つのコールセンターを持つ会社ですが、一つのコールセンターだけでも今月に入って100件以上予約を断っているといいます。

運送会社 文字放想 社長
「ちょっともう予約を受けられるキャパがいっぱいいっぱいになってしまっているので、残念ながらお受けできない状況です。本当にせっかく弊社のことを知ってご連絡をいただいているので、お断りするのは本当に申し訳ない」

SNSにも引っ越しできないという投稿が
旧ツイッターのXにも希望する時期に引っ越しの予約ができなかったという投稿が見受けられます。

「法律の改正と転勤のシーズンで予約が埋まっていると言われた。着任日に間に合わない」

「ドライバーの働き方改革で人手不足になっていると言われた。大型家具はしばらく実家に置いてく」

予約できなかった人の中には「実家の軽トラックで引っ越しします」とか「段ボールだけ、宅配便で送った」などと業者に頼らずになんとか引っ越そうという投稿もありました。

ほかにも、想定していた金額を大きく上回る見積もり額を提示されたなどと費用が高いため「自力で引っ越すしかない」という声もみられます。

引っ越しできずトランクルーム活用する人も
引っ越し業者の予約が取れなかった人たちが活用しているのがトランクルームです。

新居は決まっているものの引っ越し業者が見つからなかったという男性は…

「引っ越し業者に6、7件連絡しましたが、予約が取れなくて。まさかこんな事態になるとは正直思わなかったです。一刻も早く引っ越したい」

本当だったら、もう新居に行っているはずの荷物の保管場所として、一時的にトランクルームを使っているということです。

トランクルーム会社マーケティング部 池田大和シニアマネージャー
「引っ越しをしたくてもできない。引っ越し業者が見つからない、といった方からのお引き合いというのも多く例年に比べていただいているといった印象を感じております」

背景には2024年問題
なぜ引っ越しを断らざるをえないのか。

取材した運送会社は、大きな要因として物流業界の「人手不足」をあげています。

従業員の給与を引き上げ、人材の確保につなげたいとしていますが、厳しい状況が続いています。

その人手不足をさらに深刻化させると懸念しているのが「2024年問題」です。

運送会社 文字放想 社長
「『2024年問題』も拍車を掛けて、ちょっと厳しい状況かなと。トラックのドライバーの残業時間の上限ができるということで、さらに厳しくなっているなという印象です」

来月から、これまで上限がなかったトラックドライバーの時間外労働の時間が年間960時間に規制される「2024年問題」。

労働環境の改善につながると期待されている一方で、物流業界の人手不足が深刻化し輸送量の減少が懸念されているのです。

影響は引っ越し業者以外にも
影響は引っ越し業者以外にも広がっています。
宅配大手は、ドライバーなどの待遇改善につなげたいとして、相次いで値上げを発表しました。

日本郵便は、来月以降、ゆうパックと速達郵便の配達日数が、一部地域で最大、半日程度長くなるとしています。

専門家は、影響は私たちのさらに身近なところにも広がってくると指摘します。

物流問題に詳しい流通経済大学 矢野裕児教授
「例えば長距離で運ぶ生鮮品などは今までのような品揃えができないということが発生しかねない。長時間かかることによってある意味では鮮度が落ちるといったことも当然起きますし、それから当然コストがあがってくる。今までは相当、長時間労働、そしてドライバーに負荷をかけた状態で経済も回っていたが、その前提を少し変えていかないといけない時期になっているのかなと思います」

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