建設関連の下請け約1割 平均残業時間 新たな上限上回る水準

東京, 03月25日 /AJMEDIA/

4月から建設業で時間外労働の規制が強化されますが、建設関連の下請け企業のおよそ1割で、従業員の平均の残業時間が、新たな上限を上回る水準であることが、業界団体の調査で分かりました。

建設業界では、4月から時間外労働の規制が強化され、残業は原則として
▽1か月当たり45時間
▽年間で360時間までに規制されます。

規制強化を前に、建設関連の下請け企業などでつくる「建設産業専門団体連合会」が去年10月から12月にかけて会員企業を対象に働き方に関する調査を行い、およそ850社から回答を得ました。

それによりますと、大工や左官など職人として働く正社員の平均の残業時間が、新たに上限となる年間360時間を上回っていると答えた企業は全体の12%に上りました。

残業の要因の1つが、集合場所から工事現場への移動時間で、平均で「1時間以上」と回答した企業は、25%に上りました。

このほか、週休2日を実現できている企業は10%にとどまり、休日が取れない理由としては、「適切な工期を確保できない」という回答が最も多くなりました。

調査を行った団体は「発注元の要望もあって、短い工期を設定していることが、時間外労働や休日勤務の原因の一つになっているのではないか」としています。

「建設の2024年問題」対応 頭を悩ませるクレーン業界
「建設の2024年問題」への対応に頭を悩ませているのが、クレーン業界です。

東京都心を中心に進む高層ビルやタワーマンションなどの開発には大型のクレーンが欠かせませんが、夜間などに、そのまま現場に置いておくことが難しく、保管場所まで移動させるケースも多くあります。

埼玉県三芳町にあるクレーン会社では、工事がある日は、会社近くにある保管場所から都心部などの現場まで、1時間半ほどかけてクレーンを移動させていて、作業時間に移動時間が上乗せさせることになり、運転手の長時間労働の要因となっています。

こうしたことから、この会社が加盟する埼玉県の業界団体も含め、1都3県のクレーン会社の団体は、4月から時間外労働の規制が強化されるのを前に、国や元請けとなるゼネコンに対して、作業時間の削減などを求める要望書を共同で提出しました。

この中では、クレーンの移動が伴う現場は日中の作業時間を2時間減らし、午後3時の撤収を原則とすることなどを求めています。

一方で、一日当たりの作業時間が減ると、予定していた工期が延びて、クレーンの移動に伴う人件費や燃料費など追加の費用が発生する可能性もあることから、適正な金額で発注するよう要望しています。

このクレーン会社の会長で埼玉県の業界団体の会長も務める市原洋一さんは「クレーンの運転手の勤務は朝早く夜遅いので、なり手が全然いない状況だ。無理をしてでも、世間並みに給料を上げたいがそれには元請けのゼネコンから、きちんとした代金をもらう必要がある」と話していました。

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