偵察気球巡り非難応酬 緊張緩和、首脳協議に持ち越し―米中外交トップ会談

東京, 2月20日, /AJMEDIA/

ブリンケン米国務長官と中国外交トップの王毅・共産党政治局員はドイツ南部ミュンヘンでの会談で、米本土上空を飛行した中国の偵察気球を巡り、非難の応酬を繰り広げた。王氏は米軍による気球撃墜に反発する姿勢を崩さず、ブリンケン氏も中国側の対応に失望を隠さない。米中の緊張緩和は、バイデン大統領が意欲を示す習近平国家主席との協議に持ち越された形だ。
 ◇非公開の会談
 18日午後、各国首脳や外交・国防トップらが集まったミュンヘン安保会議が開かれる中、ブリンケン、王両氏は非公開の場所で会談を行った。握手を交わす姿を報道陣に公開した昨年9月の米ニューヨークでの会談とは打って変わり、両国間に漂う緊張感をにじませた対応となった。
 米メディアによると、会談は約1時間で、ブリンケン氏は王氏に対し「非常に単刀直入で率直だった」(国務省高官)という。同省のプライス報道官は会談後に発表した声明で、ブリンケン氏が「米上空での偵察気球飛行は米国の主権の侵害と国際法違反であるとじかに伝え、決して再び起きてはならないと強調した」ことを明らかにした。
 ◇強い言葉で批判
 中国外務省は会談を「非公式な接触」と表現し、あくまで「米国の要請」で行われたと強調。発表文では「会談」という言葉が避けられ、中国側が態度を硬化させたままであることがうかがえた。
 王氏は会談で「強烈な不満と厳正な抗議」を表明し、「米国こそ世界最大の監視国家だ」と強い言葉で批判。「米国がこの(気球の)問題を利用して騒ぎ立てるのであれば、中国は最後まで相手をする。全ての結果は米国が負う」と述べた。
 関係改善への努力は米国が率先して行うべきだとの認識を示し、ブリンケン氏に「米側の進路変更」を迫った。
 ◇不信解消されず
 ブリンケン氏は会談後、米メディアとのインタビューで「謝罪はなかった」と述べ、国務省高官も中国側から「気球に関する信頼に足る説明はなかった」と語る。ブリンケン氏は会談中、軍当局間の協議に中国が応じないことに失望を示しており、米中間の不信は募ったままだ。
 バイデン氏は気球の問題を巡る習氏との協議に意欲を示し、今後は米中トップの対話が焦点となる。ただ、バイデン氏は「謝罪はしない」と明言しており、緊張緩和に向けた対話が早期に実現するかは不透明だ。

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