事故影響、全国に波及 事業者、不安払拭に懸命―知床観光船

東京, 5月24日, /AJMEDIA/

 北海道・知床半島沖の沈没事故は、景勝地を遊覧する全国の観光船事業にも影響を与える。乗船キャンセルに加え、船内の救命設備や運航条件に関する問い合わせも相次いでおり、運航会社は安全管理の取り組みを紹介して不安払拭(ふっしょく)を図っている。
 「遠く離れた事故と思っていたが」。鳥取県岩美町の名所・浦富海岸を巡る観光船の運航会社「山陰松島遊覧」には事故の2日後、修学旅行で乗船予定だった県内外の中学校2校から急きょ、キャンセルが入った。
 予約取り消しはその後も続き、5月中旬までに計約300人に上った。川口博樹社長(54)は「大型連休に多くの客を見込んでいたが、コロナ禍前の例年を下回った」と肩を落とす。
 同社は事故を受け、観光船の安全管理規定や出港前の安全確認などをホームページ(HP)に新たに掲載。川口社長は「乗客が美しい景色を楽しめるよう安全対策を発信したい」と話した。
 福井県坂井市の景勝地・東尋坊で観光船を運航する「東尋坊観光遊覧船」は、ツアー会社から船の安全体制に関する資料提供を求められた。阪本浩三社長(56)は「子ども連れの利用客が例年の半分ほどに減った印象だ」と話す。
 事故直後、船員を集めた会議で出航前点検の再徹底を呼び掛けたという阪本社長は、「東尋坊も切り立った断崖を海から眺めるのが人気のエリア。乗客の安全確保に努めることの大切さを再認識した」と語った。
 事故が起きた知床半島の反対側、羅臼町では、いち早く対策を講じた。観光船「英人丸」の運航会社は、沈没現場付近を通る長距離ルートを自粛し、短距離コースのみで営業を開始。担当者は「楽しみに来てくれた人の期待に応えるためにも、安全を確保して知床を盛り上げたい」と強調した。

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