中国海警局の船 台湾海峡の「中間線」付近で位置情報を発信

東京, 03月04日 /AJMEDIA/

中国海警局の船が台湾海峡の「中間線」付近をみずからの位置情報を発信しながら航行し、活動を活発化させていることがわかりました。台湾側は中国による台湾海峡における現状変更の試みとみて警戒しています。

台湾海峡の「中間線」は中台の偶発的な衝突を避けるための境界線として、双方の暗黙の了解があるとされてきました。

しかし、関係者によりますと、中国海警局の船は去年4月以降、この「中間線」付近をAIS=船舶自動識別装置を作動させてみずからの位置情報を発信しながら繰り返し航行しているということです。

中には沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で航行が確認されている従来よりも大きい76ミリ砲を搭載しているとみられる船も活動しているということです。

NHKがAISのデータを分析したところ、去年4月からことし2月にかけて合わせて9隻が中国沿岸部のアモイなどを出港し、「中間線」付近を2週間程度、航行する様子が確認されました。

関係者によりますと、これらの船は海底の砂を違法に採取する自国の船の取締りに当たっている可能性があるということです。

「中間線」付近を自由に航行することを誇示し、取締りを通じて自国の海域として、存在感を高めるねらいがあるとみられます。

台湾海峡をめぐっては、おととし、2022年以降、中国軍の戦闘機などがたびたび「中間線」を越えて飛行しているほか、中国は2月から、民間機の航路の一つをこれまでよりも「中間線」に接近させた台湾寄りの航路に変更して運用を始めています。

台湾側は、今回の海警局の船の動きも「中間線」を形骸化させようとする、中国側の台湾海峡における現状変更の試みとみて警戒しています。

専門家「中国側のすべての行動に注視」
台湾の海洋政策に詳しい、中華海巡協会の葉雲虎 秘書長は「中国海警局の船は、かつては近づくことがなかった『中間線』付近を意図的に航行している。AISも作動させているのは中国の認知戦の一環だ。中国政府は中間線を認めることを拒否しており、現状変更がなされつつある。中国側のすべての行動に注視していかなくてならない」と話しています。

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