テスト採点、ソフトで効率化 作業「1週間から半日に」―教員の働き方改革

東京, 5月7日, /AJMEDIA/

マル付けは、赤ペンからタッチペンへ―。学校現場で、テストの採点にパソコンソフトを導入する事例が増えている。手書きの答案用紙をスキャンして使うもので、合計点を即座に集計できるなどの利点がある。導入した教育委員会では「1週間かかる採点が半日で終わった」との声があり、文部科学省幹部も「働き方改革に有効だ」と強調する。
見落とし防止、AIにお任せ 医療やインフラで存在感

 ソフトは複数の企業が教委や学校に販売。スキャンした答案用紙を画面上で採点する仕組みで、設問ごとに全員分の解答が一覧表示できる。
 私立巣鴨中学・高校(東京都)は、2021年度から校内テストや入試に、教育ソフトウェア社(同)の「採点ナビ」を使い始めた。漢文の尾形光祐教諭がタブレット端末を広げて見せると、生徒8人分の手書きの答えがずらり。正解の漢字とその意味が書かれた部分をタッチペンで触ると、次々と加点処理されていった。
 同じ問題をまとめて採点でき、「全員○」「全員×」も瞬時に付けられるため、尾形教諭は「記号や単語の問題は圧倒的に早い」と話す。ソフト「百問繚乱」を提供するシンプルエデュケーション社(東京都)の担当者は、全員の答えを一つの画面で見比べられるため「採点基準がぶれない」メリットもPR。採点済み答案は印刷して子どもに返す。
 兵庫県西宮市教委は19年度から市立中高校の校内テスト用にソフトを導入。教委担当者は「教員が校内に1人しかいない教科は、採点に1週間かかっていた。今は半日で終わり、テスト翌日に答案を返せる」。ソフトには記号問題なら自動的に採点できる機能もあり、広島市教委は校内テストにこれを活用。教員アンケートで「残業時間が減った」と好評価だった。
 ただ、尾形教諭は「論述問題の採点時間はあまり変わらない」と話す。手を動かす時間より解答を読んで評価する時間の方が長いためだ。また、ソフトの画面上では線を引いたり、コメントを書き込んだりしづらく、紙の方が便利な点もあると指摘。双方の長所をうまく使い分ける工夫も必要なようだ。

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