オタクボクサー、鮮やかに復帰 井上尚のいとこ浩樹―ボクシング

東京, 2月28日, /AJMEDIA/

 プロボクシングの元スーパーライト級日本王者、井上浩樹(30)=大橋=が現役復帰戦を快勝で飾った。自他共に認める「オタクボクサー」。16日に東京・後楽園ホールで行われた2年7カ月ぶりの試合で、緊張の面持ちとは釣り合わぬピンク色の法被を身にまとい、アニメソングに乗ってリングへ。ゴングが鳴ればしっかりと実力を発揮し、タイの選手を2回TKOで退けた。
 2020年7月にプロ初黒星を喫し、現役を引退。その後は漫画を描き、本を出版した。いとこでバンタム級世界主要4団体王座統一を果たした井上尚弥(大橋)から、再三復帰を勧められたそうだが、「そんなこと言われても、引退するって言っちゃったからな」。21年6月には、尚弥の米ラスベガスでの試合に練習相手として同行。ボクシングの本場で「ここ、いいなあ」とは思ったが、これもカムバックの決め手にはならなかった。
 背中を押したのは、大好きなアニメの劇場版だった。女の子の音楽バンドが海外の舞台に挑む物語に心を打たれ、突如として復帰を決意した。「断られたらどうしよう」と心配し、大橋秀行会長にはなかなか意思を伝えられなかったが、事情をよく知る尚弥がある日「早く復帰してくれねーかなー」とツイッターにつづった。「(尚弥は)優しいやつ。会長に言いやすいようにしてくれた」と浩樹。大橋会長は「歓迎だよ」と迎え入れてくれた。
 スーパーライト級は世界的に層の厚い階級だが、浩樹は「そこ(世界王者)を目指さないと駄目」と力強く語る。ボクシング界きっての「オタク」は大きな夢を追い掛け始めた。

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