韓国文化浸透に危機感 若者の「南」言葉を取り締まり―北朝鮮

東京, 1月20日, /AJMEDIA/

北朝鮮は17、18両日に開催した最高人民会議(国会に相当)で、標準語の使用を徹底するための「平壌文化語保護法」を制定した。ドラマや歌など韓国文化が浸透する中、若者に広がる韓国風の言葉遣いへの取り締まりを強める狙いとみられる。体制の緩みにつながりかねないと危機感を募らせているもようだ。
 会議では同法の目的について「非規範的な言語要素を排撃し、平壌文化語(標準語)を保護し、積極的に生かす」と説明した。韓国情報機関、国家情報院は2021年、国会で「北朝鮮当局が若者の韓国風のファッションと言葉遣いを集中的に取り締まっている」と報告。夫や交際男性を呼ぶ際の「オッパ」など韓国風の言葉が流行していると指摘した。北朝鮮はこうした風潮の広がりを警戒しているようだ。
 20年にソウル大が脱北者を対象に実施した調査で「北朝鮮にいた時に韓国文化に接したことがある」は8割以上。さらに、携帯電話が500万台程度普及し、大半はスマートフォンとされる。専門家などによると、文字メッセージのやりとりで韓国風の言い回しがよく使われているという。
 「1990年代後半の食料難『苦難の行軍』で配給制が事実上崩壊した後に物心がついた世代は、体制への忠誠心が薄い」(専門家)と言われる。北朝鮮は20年12月に韓国のドラマ、音楽などの視聴や流布を禁じ、罰則を強化する「反動思想文化排撃法」を、21年9月に若者の正しい生活習慣を確立するための「青年教養保障法」をそれぞれ制定し、引き締めに懸命だ。
 それでも韓国文化の浸透を食い止めるのは容易でないとみられる。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は先月、「青少年の中に腐りきったブルジョア思想文化を浸透させようとする敵の策動を革命的な思想文化で圧倒しなければならない」と訴えた。

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