英EU、政権交代機に雪解け 北アイルランド問題で合意―「スナク首相就任以来好転」

東京, 3 月1 日, /AJMEDIA/

【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)離脱に伴う懸案となっていた英領北アイルランドに関する協定が27日、合意に達した。スナク政権の誕生を機に、英EUのこじれた関係が雪解けした形だが、ジョンソン元首相ら強硬な離脱派などの抵抗も予想され、思惑通りに事が運ぶかは不透明だ。
EU当局者は「スナク首相が就任して以来、雰囲気が良くなり、仕事が建設的になったのは明らかだ」と述べ、ジョンソン氏や同じ強硬派のトラス前首相の退陣が、合意の一因との見方を示した。フォンデアライエン欧州委員長も記者会見で「スナク氏との最初の会談で、誠実で強い協力関係に勇気づけられた」と相性の良さを指摘した。
 北アイルランドの国境管理はEU離脱の最大の焦点だった。北アイルランドは英本土とは海で隔てられ、EU加盟国のアイルランドと国境を接するため、離脱によって南北アイルランド間の通関手続きが必要になった。
 問題を複雑にしたのが、北アイルランドの歴史だ。英国への帰属を望むプロテスタント系と、アイルランドとの統一を目指すカトリック系が長年対立。多くの犠牲者を出した武力闘争は、1998年の和平合意で終止符が打たれた。
 離脱協定では、この合意を踏まえて南北間に物理的な国境施設を設けない代わりに、英本土と北アイルランドの間で通関手続きをすることになった。ところが、ジョンソン氏が昨年、これを一方的にほごにする法案を議会に提出。英EU関係は再び冷却化していた。
 スナク首相は、通関手続きなどを一部免除する今回の合意について「決定的な進展を遂げた」と自賛した。しかし、英メディアによると、ジョンソン氏は今回の政府提案を詳細に分析しているとされ、素直に従うかは分からない。また、北アイルランドのプロテスタント系政党も「懸念される主要な問題が残っている」と立場を留保している。

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