脱原発延期めぐり混乱 政権内対立、結論見えず―ドイツ

東京, 10月16日, /AJMEDIA/

エネルギー危機を受け、ドイツの脱原発を延期する計画が混乱している。3党が組む連立与党内で対立が続き、固まりかけた短期延期案に待ったがかかった。結論先送りが繰り返され、ショルツ首相の政権運営に不安が漂っている。
 ドイツは年末までに脱原発を完了させる計画だった。だが、ウクライナに侵攻したロシアが欧州の対ロ制裁に反発し、パイプライン「ノルドストリーム」による天然ガス供給を停止。深刻なエネルギー不足でガス・電気料金が高騰し、家計を直撃している。
 脱原発を強く訴える緑の党に所属し、エネルギー政策を担うハーベック経済・気候保護相は9月、稼働する最後の原発3基のうち2基について、来年4月半ばまでの短期間に限り、電力不足時に稼働できる状態に保つと表明。再延長せず、新たな燃料も購入しない考えを明らかにした。緑の党は今月14日の党大会で、この方針を確認した。
 だが産業界に近い自由民主党(FDP)は全3基の2024年までの稼働を主張。党首のリントナー財務相は10日、「これは政治ではない。物理的な問題だ」と譲らない姿勢を示した。
 DPA通信が14日公表した世論調査では、24年以降の原発稼働を積極的に支持する、あるいは状況に応じ容認するとの回答が全体の56%に上った。過半数が緑の党案よりも長期の延長を支持した。
 延期関連法は2度にわたり閣議決定が先延ばしされている。社会民主党(SPD)のショルツ首相は13日、重要閣僚のハーベック、リントナー両氏を仲裁するため原発運営企業幹部を交えて協議を行ったが、不調に終わったもようだ。
 脱原発を延期しても維持管理は必要で、政府の結論が不透明なままでは運営企業側も対応が困難。エネルギー問題が短期間で解決する見込みがない中で、国民や企業は連立政権に厳しい目を向け始めている。

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