頼政権、早くも内外で荒波 中国圧力と国会混乱、団結呼び掛け―台湾

東京, 5月25日 /AJMEDIA/

台湾で20日に発足した頼清徳政権が早くも内外で荒波にもまれている。頼氏の就任演説に反発した中国は23、24の両日、台湾を取り囲んで大規模な軍事演習を実施。台湾内では24日、多数を占める野党が提出した法案を巡り立法院(国会)が紛糾。野党は少数与党への攻勢を強め、政権を足元から揺さぶっている。

 頼氏は24日、自身のフェイスブックに投稿し「団結こそが国軍の最大の後ろ盾だ!」と訴えた。中国軍の動向は全て把握し適切に対応しているとして、台湾の人々に安心するよう呼び掛けた。

 中国軍の演習に対する市民の反応は落ち着いている。中国の軍事的圧力が日常になっており、「どうせ脅しだ」と受け止める傾向が大きい。ただ、中国からの侵攻の可能性に備える台湾当局や専門家は警戒を強める。「祖国統一」を悲願とする習近平政権が、台湾侵攻を想定した段階的な軍事演習を着々と進めているとみているためだ。

 台湾の安全保障専門家は中国の出方について「長期的な戦略に沿って、普段は各部門で軍事演習を進め、『口実』がある時に大規模な統合演習に踏み切る」と解説する。今回は、中国が「台湾独立派」と敵視する頼氏の就任演説が「口実」となった。すぐに深刻な衝突に至らなくても、演習を通じて中国軍が得る成果は大きく、今後も頼氏はこうした難しい局面が続きそうだ。

 一方、内政では少数与党政権の厳しさにさらされている。最大野党・国民党と第3党・民衆党は、野党が優位に立つ立法院の機能を強化する立法院改革法案を共同提出した。与党・民進党が激しく反発する中、国民党の韓国瑜議長は採決する方針を決定した。これを巡り、与野党議員のもみ合いや乱闘が起こっている。

 24日、立法院周辺には午前から強行採決に抗議する人々が次々と集まり「議論をしろ」「民主主義を守れ」などと訴えた。抗議集会の主催団体によると、集まった人数は5万人を超え、与野党対立の出口が見えない状況が続いている。

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