英首相、経済好転で賭け 14年ぶり政権交代に現実味―総選挙、7月4日実施

東京, 5月24日 /AJMEDIA/

英国の総選挙が7月4日に実施されることになった。「今年後半」を示唆してきたスナク首相が今月22日、早期解散を発表した。与党・保守党の劣勢が伝えられ、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びる中、経済状況に好転の兆しが見える今こそ、国民の審判を仰ぐ好機とみて賭けに出たと言える。

 スナク氏は昨年初め、「インフレ率の半減」「経済成長」「密入国ボートの停止」など国民の関心が高い問題を、五つの優先課題に掲げた。総選挙の日程を明らかにした22日は、4月の消費者物価指数(CPI)が大幅鈍化したと発表された当日だった。

 また、1~3月期の実質GDP(国内総生産)は2期続いたマイナス成長から転換。不法入国した移民をアフリカ中部ルワンダに強制移送する法律も成立し、移民対策にも一定の道筋を付けた。スナク氏も22日、「経済はだれの予想をも上回って成長しており、インフレ率は正常に戻った」と実績を強調した。

 だが、スナク氏に総選挙の勝算が見える状況にはなっていない。今月初めの地方選で保守党は大敗。調査会社ユーガブの最新支持率調査でも、最大野党・労働党の47%に対し、保守党は20%と大差が付いている。労働党のスターマー党首は「この国が必要とし、待ち望んでいた瞬間だ」と早期総選挙を歓迎した。

 現在の状況は、1997年の総選挙で労働党が圧勝し、ブレア政権が誕生した時と似ているとの指摘もある。当時は、サッチャー政権から18年続く保守党政権への飽きもあり、「ニューレイバー」を掲げた労働党が地滑り的大勝を収め、43歳のブレア首相が誕生した。

 スターマー氏は22日、食料品の価格高騰や犯罪の状況などの課題を挙げ、保守党の混乱が原因と指摘。「労働党への1票は変化への1票だ」と訴えた。

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