英首相、周到に「サプライズ解散」 選挙戦主導権狙う

東京, 5月26日 /AJMEDIA/

英国の総選挙が7月4日に行われることが決まった。スナク首相が22日夕(日本時間23日未明)に発表するまで、7月選挙の気配はなく、英メディアには「サプライズ」の文字が躍る。劣勢を強いられている与党・保守党を率いるスナク氏が、選挙戦の主導権を狙い周到に準備をしたようだ。

 英国では日本と同様、下院の解散権は実質的に首相にある。このため、スナク氏がいつ総選挙実施を決断するかに注目が集まっていた。22日は正午から下院で党首討論が行われたが、スナク氏は「総選挙は今年後半に行われる」と、これまでの見解を繰り返した。

 だが、午後になるとにわかに「総選挙日程の発表があるのでは」とのうわさが駆け巡る。アルバニア訪問中のキャメロン外相が、日程を切り上げて帰国の途に就いたほか、シャップス国防相が外遊を遅らせ、ハント財務相も夜のテレビ出演をキャンセルしたためだ。一方、官邸サイドは午後4時すぎからの閣議について、閣僚らに偽の議題を渡してまで、情報漏れを防ごうとした。

 英紙タイムズによれば、スナク氏は総選挙を遅らせるほど、「首相の座にしがみついている」との批判につながることを懸念。側近らと共に、約1カ月前には早期解散を決断していた。

 そして22日午後、スナク氏はバッキンガム宮殿でチャールズ国王に謁見(えっけん)し、解散の許可を得たという。この日は首相が週1回、国王に情勢を報告する日に当たり、宮殿訪問を怪しまれることもなかった。

 午後5時すぎに首相官邸前に演台が運び込まれると、程なくスナク氏が登場し、総選挙の日程を発表。最大野党・労働党も不意を突かれた格好で、選挙戦スタートで主導権を握ることに成功した。ただ、天気だけは思惑通りにいかず、声明を読み上げる間も降り続く雨で、スナク氏のスーツはぬれて光っていた。

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