米、銃規制めぐり分断 遺族「1歩進んで2歩後退」

東京, 6月26日, /AJMEDIA/

自己防衛のために公共の場で拳銃を持ち歩くことは憲法に保障された個人の権利―。相次ぐ乱射事件に揺れる米国で、連邦最高裁が23日、銃所持の権利を拡大する歴史的な憲法解釈を示した。一方、25日には連邦レベルで28年ぶりとなる銃規制強化法が成立した。銃の在り方をめぐり国の分断が続く中、乱射事件の遺族は不満を募らせている。
 最高裁で争われたのは、東部ニューヨーク州の州法。自宅外で銃の携帯を希望する者に「適切な理由」を証明することを義務付けている。最高裁は、この規定が武器の所持を認める憲法修正2条を侵害しているとして、違憲と判断。銃の携帯が容易となり、銃犯罪の増加につながるのではないかとの懸念が強まっている。
 同州バファローでは5月、スーパーマーケットで白人の男が銃を乱射し、黒人10人が殺害される事件が発生したばかり。最高裁のアリート判事は賛成意見の中で、この事件に言及し「銃の携帯が違法だと知ったところで、乱射を決意した者が止まるだろうか」と指摘。「ニューヨークの法は明らかに犯人を止められなかった」と断言した。
 これに対し、事件で母を失ったガーネル・ホイットフィールド・ジュニア氏はニューヨーク・タイムズ紙に「(この国は)1歩進んで2歩下がる」ようだと話し、判決に失望したと語った。息子が巻き込まれて負傷したゼネタ・エバハートさんも「ばかげている。政府も裁判所も議員も私たちを守るために存在するのに、守られているとは感じない」と非難の声を上げた。
 米メディアによると、連邦最高裁が憲法修正2条に関する解釈を示したのは、2008年に自衛のために個人が自宅で銃を所持する権利を認めて以来。ニューヨーク州やカリフォルニア州など自宅外での銃所持を厳しく規制する州では今後、携帯を認める条件として訓練を義務付けるなど新たな措置の検討を急ぐ方針だ。

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