東京, 6月25日, /AJMEDIA/
それは、つやつやした新鮮そうなアジの刺身だった。
鮮魚店で思わず手に取り、家族で夕飯を楽しんだ。その3日後…。
私は経験のない痛みに苦しめられることになる。
原因は長さたった2、3センチの寄生虫「アニサキス」。
この苦しみを皆さんには味わってほしくない。
その日、痛みにもだえ苦しみながら私は取材することを決意した。
アニサキス症とは
サバやアジなどの魚介類に寄生しているアニサキスの幼虫。
長さは2、3センチ、体は角皮と呼ばれる丈夫な膜に覆われていて白い糸くずのようにも見える。
これが生きたままヒトの体内に入ると、胃や腸などに刺さり、激しい痛みやおう吐を引き起こす。
これが食中毒「アニサキス症」だ。
胃に刺さった場合は内視鏡で取り除く。
ちなみに私は、腸まで到達し一般的には除去が難しかっため、痛み止めを処方されただけ。
人の体内に入ったアニサキスは1週間ほどで死ぬとはいえ、みぞおちを太い針で何度も刺されているかのようで、まっすぐ立っていることもできない。
出産に次ぐ激しい痛みに3日間耐えることになった。
アニサキス症についてくわしい国立感染症研究所の杉山広客員研究員に話をきいた。
アニサキス症なぜ増加
実はこのアニサキス症、近年、増加傾向にあると指摘されている。
去年1年間に厚生労働省に報告されたアニサキス症は344件、食中毒の発生件数としては1位で、カンピロバクターやノロウイルスを超える。
また、診療報酬明細書のデータをもとに国立感染症研究所で試算したところ、年間に7000人以上がアニサキス症になっていると推計されている。
なぜアニサキス症は増えているのか。
1つは、アニサキス症の存在が広く知られるようになったことだが、輸送技術の発達が深く関係しているという。
アニサキスは冷凍すると死ぬため、魚を冷凍して輸送していれば問題は起きなかった。ところが輸送技術が発達して、魚を生で輸送できるようになったことで、アニサキスも生きたまま魚とともに運ばれてしまう結果となっているのだ。