批判回避や影響力誇示狙う ウクライナ「和平案」実効性疑問―バランスに苦慮・中国

東京, 2月28日, /AJMEDIA/

ロシアが侵攻を続けるウクライナを巡り、中国が「和平の仲介役」への積極姿勢を見せている。国際的な影響力を内外に誇示し、「中立」を強調して米欧の対中批判をかわす狙いがにじむ。ただ、現時点で実際の行動は伴っておらず、実効性には疑問符が付く。
 中国外務省は24日、ウクライナ侵攻1年の節目に合わせて「中国の立場」を示す12項目の文書を発表。「直接対話の早期回復」「核兵器使用への反対」といった従来の原則論を繰り返し、仲裁へ向けた具体案は含まれなかった。ロシア側が文書を「高く評価」する一方、バイデン米大統領は「ロシア以外に利益がない」と一蹴した。
 米メディアは「文書には目新しい内容がない」などと批判。中国外務省報道官は「根拠のない意見で中国を中傷せず、関係者は自分たちがウクライナの政治的危機の解決に向けて何をしたのかを考えてみてはどうか」と反発した。
 侵攻に関し中国は「中立」を主張するが、ロシアを非難せず対ロ制裁にも反対。中国を「ロシア寄り」とみる米欧との関係も一層悪化している。習近平政権にとって対米共闘を組むロシアとの関係は重要だが、低迷する中国経済の立て直しに向け、米欧との関係安定化も必要だ。侵攻が長期化するにつれ、中国が両者の間でバランスを取る難しさが増している。
 中国は伝統的な友好国であるウクライナとロシアの間でも立ち位置に苦慮してきた。中国外務省の文書は最初に「各国の主権と領土保全の尊重」を掲げてウクライナに配慮。中国外交トップの王毅・共産党政治局員は18日、ドイツでウクライナのクレバ外相と会談し、バランス外交を演出した。ゼレンスキー大統領が意欲を示す習国家主席との初会談へ地ならしした可能性もある。
 ただ中国外務省の毛寧副報道局長は27日の記者会見で、両首脳の会談を巡り「関係当事者と常に意思疎通を保っている」と述べるにとどめた。
 一方、王氏は22日、ロシアでプーチン大統領と会い、中ロの連携強化を再確認。中国のロシア偏重が改めて浮き彫りとなる中、今春に見込まれる習氏のモスクワ訪問では、ウクライナ和平をめぐる中国の姿勢が試されそうだ。

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