侵攻長期化、支援の在り方模索 現地や日本で、ウクライナ避難民に―識者「関心持ち続けて」

東京, 2月24日, /AJMEDIA/

 ロシアによるウクライナ侵攻以来、さまざまな団体が現地や日本国内で避難民などの人道支援に当たってきた。1年がたち、終結の兆しが見えない中、多くの課題を抱えながら支援の在り方や継続を模索している。
 国際医療団体「国境なき医師団」では昨年2月24日以降、日本から医師や看護師ら延べ15人が現地入りした。紛争地での経験を生かし、砲撃で多数の負傷者が出た際のトリアージやリハビリのノウハウを現地の医師に教えるなどしている。一方、安全上の理由からロシアの支配地域には入れず、衛生状態なども不明で、担当者は「ウクライナが奪還すればすぐにニーズを調査するが、戦況に左右される」と支援の難しさをにじませる。
 国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」(広島)も、延べ30人以上がウクライナや隣国モルドバで活動。当初は物資配布や医療支援が中心だったが、攻撃が収まった地域では病院などの再建やインフラの整備も急務となっている。避難生活が長引く中、子どもたちのオンライン学習の支援なども行っているという。
 同団体には侵攻直後の3~4月、多くの寄付が集まったが、現在は10分の1にまで減少した。影響は大きいといい、担当者は「たとえあす侵攻が終わっても日常に戻るには何年もかかる」と支援継続の必要性を訴える。
 来日した避難民らは侵攻の長期化により、日本での将来を考え始めている。ウクライナの学生5人が通う国際基督教大(東京)は当初、緊急策として学位を取得しない非正規課程で受け入れたが、5人全員が正規課程への編入や大学院への進学を決めた。「平和な社会を構築するため、国際関係学を専攻したい」と話す学生もいるという。同大は「5人が学位を取得するまで、2~3年間支援していく」としている。
 国内約40校の日本語学校などでつくる支援プロジェクト「ウクライナ学生支援会」も、100人以上の避難民を受け入れた。同会代表を務める清風情報工科学院(大阪)の平岡憲人校長によると、今もなお申し込みがあるが、教員不足などで受け入れ可能な学校は減っている。2年間の学費援助終了後の学生の進路なども気掛かりだという。
 人道支援に詳しい立教大大学院の長有紀枝教授(社会学)は「ウクライナの人への支援を手厚くするには、(行政が)最前線で支えている人たちへの支援も同時に考えなければならない」と指摘。その上で「避難先での一日を幸せにしたり、一瞬でも笑顔にしたりできるのは、偶然そばに居合わせた人。自分には何もできないと思わず、関心を持ち続けてほしい」と話した。

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