NPT体制立て直し議論 ロシアへの非難集中必至―31日に準備委開幕

東京, 7月31日, /AJMEDIA/

【ベルリン時事】核拡散防止条約(NPT)に基づく国際会議が、31日から2週間の日程でウィーンで開催される。ウクライナ侵攻を続けるロシアが核の威嚇をエスカレートさせる中、核保有国と非保有国が一堂に会して核不拡散について話し合う唯一の場で、NPT体制の立て直しに向けた方策を議論する。
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 今回の会合は、2026年に開かれる5年に1度のNPT再検討会議に向け、計3回開かれる準備委員会の初回。過去2度の再検討会議では最終文書が合意に至らず、NPTの求心力が揺らいでいる。準備委は各国が改めて核不使用の重要性を再確認し、10年越しの合意形成へ地ならしする重要な機会となる。
 日本は「『核兵器のない世界』に向け、現実的な歩みを進める」(岸田文雄首相)との立場から、核保有国が加わるNPTを重視。被爆地の広島、長崎の両市長や被爆者団体の代表も準備委で演説し、核廃絶を訴える予定だ。
 前回22年8月の再検討会議では、最終文書案に盛り込まれたウクライナ情勢に関する文言にロシアが反発。西側諸国が妥協点を探ったものの唯一反対を貫き、採択に失敗した。今回もウクライナ南部ザポロジエ原発占拠やベラルーシへの戦術核兵器配備計画などを巡り、ロシアへの非難が集中することは必至で、合意への糸口をつかめるかは予断を許さない。
 さらに、安全保障環境の激変で核の「抑止効果」を再評価する機運が高まる一方、一部の非核保有国は核保有を全面的に禁じる核兵器禁止条約を推進。保有国側との摩擦が大きくなっている。北朝鮮やイランの核問題のほか、東京電力福島第1原発の処理水放出に強硬に反対する中国の対応も注目されそうだ。

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