辺野古陸地化、3割完了 「諦め」払拭に知事懸命―土砂投入着手から3年

東京, 12月15日, /AJMEDIA/

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に向け、政府が名護市辺野古沿岸部で土砂投入を始めてから14日で3年を迎えた。埋め立て予定海域の3割弱の陸地化が完了。県民の間には「諦めムード」も漂い始めた。移設阻止を掲げる玉城デニー知事は来秋に知事選を控え、その払拭(ふっしょく)に懸命だが、国側は振興予算を絡ませて追い打ちをかける。
 玉城知事は先月25日、「最後のカード」として、軟弱地盤が見つかった辺野古崎東側の地盤改良計画を不承認とした。14日には東京都内で記者団に「岸田文雄首相は長所を『聞く力』だと言っているので、真摯(しんし)に対話の場をセットしてほしい」と語った。
 埋め立て海域は全体で152ヘクタール。政府は2018年12月に土砂投入を始め、辺野古崎南西側部分(41ヘクタール)の陸地化を終えた。土砂投入量は10月末に計画の約8%に達した。
 南西側には不承認の効力が及ばないため、14日も工事車両が陸地化部分のかさ上げを進めた。反対派は近くで集会を開き、「政府は不承認を取り消して開き直るだろう。選挙で民意を示そう」と訴えた。
 辺野古崎東側で工事の見通しが立たないにもかかわらず南西側の工事をやめないのは、政府関係者によると、できる限り既成事実化して県民の「無力感」を誘う狙いだ。
 実際、流れは変わりつつあるようだ。18年の知事選で玉城氏が初当選し、移設の是非を問う19年の県民投票で反対が7割超を占めたが、20年県議選では自民党が議席を増やし、今年の衆院選でも名護市を含む沖縄3区で移設反対派が落選した。
 自民党関係者は「容認が民意だ」と勢いづく。中立の立場のある名護市民は「もう工事は止められない。元の海に戻せるわけがない」と語った。
 保革を超えた移設反対勢力「オール沖縄」の退潮も否めない。政府は予算をてこに切り崩しを図っており、オール沖縄を離れた企業経営者は「生活が懸かっている」と苦しい胸の内を明かす。
 来年は移設の行方を左右する選挙が目白押し。1月に名護市長選、夏に参院選、秋に知事選、宜野湾市長選と続く。玉城知事は今月4日、辺野古の反対派集会に3年ぶりに姿を見せ、「横暴に負けてはいけない」と力説した。
 もっとも政府・与党が手を緩める気配はない。防衛省は不承認封じに向け、7日に行政不服審査を国土交通相に請求。年末の予算編成では、3000億円台が9年続いてきた沖縄振興費について「知事が協力しない以上、大台割れは確実」(政府関係者)と揺さぶりをかける。
 首相は14日の衆院予算委員会で「辺野古移設は唯一の解決策だ。着実に進めていく」と語った。

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