苦戦する組織内候補 正念場の遺族会、連合は股裂き―比例

東京, 7月8日, /AJMEDIA/

 参院選(10日投開票)の比例代表で、与野党は改選50議席をめぐり、し烈な争奪戦を繰り広げている。自民党は前回2019年と同じ33人の候補を擁立。業界団体の集票力が衰えを見せる中、同党を支持する日本遺族会の政治団体「日本遺族政治連盟」は組織内候補を維持できるか正念場を迎えた。一方、連合の組織内候補は今回も立憲民主、国民民主両党に分かれる「股裂き」となった。
 自民は全国建設業協会や日本医師連盟など業界団体の組織内候補を並べた。各団体の競争を促して比例票全体の底上げを図る狙いがある。
 ただ、自民の「集票マシン」と呼ばれた建設業協会でさえ、最近の組織内候補の得票は20万票台にとどまる。環太平洋連携協定(TPP)や農協改革で農業者の反発を受けた全国農政連も大幅に票数を減らしており、いずれも組織力の低下は否めない。
 遺族政治連盟はより深刻だ。旧全国区で最後の1980年に約93万票を集めたが、遺族の高齢化に伴い16年には約11万票まで落ち込んだ。13年と19年は組織内候補の擁立も見送った。
 自民内では「合区」によって選挙区から出馬できない候補を優遇する「特定枠」の影響もあり、当選を確実にするには「15万票必要」(党関係者)との見方がある。危機感を強めた遺族会は全国39都道府県で戦没者の孫・ひ孫世代による青年部を結成、若者世代への支持拡大に活路を見いだす。
 野党支持の労働組合も生き残りに懸命だ。連合傘下の産業別労働組合(産別)が推す組織内候補は前回に続き、立民、国民両党に分かれる「分裂選挙」となったが、国民に近い二つの産別が立民からの出馬に切り替えた。
 鉄鋼や造船などの労組が加盟する「基幹労連」と、機械・金属の中小メーカーなどで構成する「ものづくり産業労働組合(JAM)」だ。前回、基幹労連が支援したJAMの組織内候補が旧国民から出馬したものの落選。自治労、日教組などの組織内候補5人全員が当選した立民とは対照的な結果となった。
 今回、JAMが支援する基幹労連候補が立民から出馬するのは、「当選可能性が高い」(連合関係者)との判断からだ。ただ、立民の支持率は低迷しており、切り替えが奏功するかは見通せない。
 一方、国民は電力総連などの組織内候補4人を立てたが、「四つ取るのは難しい」(連合幹部)との厳しい見方もある。100万票の獲得を目指す東京で票をどこまで掘り起こせるかが課題だ。
 比例を重視する公明党は今回も全国を6ブロックに分けて、目標の800万票獲得と改選7議席の維持を狙う。有力な支援団体を持たない日本維新の会は元知事や芸能人など知名度の高い候補者を擁立し、無党派層にアピール。共産党は比例5議席確保へ650万票の獲得を目指している。

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