自公、亀裂拡大に危機感 東京修復は難航必至―衆院選

東京, 6月28日, /AJMEDIA/

自民、公明両党は27日、懸案だった次期衆院選の選挙協力で合意した。今秋の解散・総選挙も取り沙汰される中、亀裂が決定的になることへの危機感が、早期の取りまとめに両党を駆り立てた。ただ対立の火種となった東京での選挙協力の見通しは立っておらず、関係修復への道は険しい。
自公、46道府県で相互推薦 東京の扱い先送り―衆院選合意文書

 「『雨降って地固まる』という言葉もある。政権を保つ責任感を持っていくことが大事だと首相も私も思っている」。27日午後、首相官邸で岸田文雄首相と会談した公明の山口那津男代表は、ことわざを引用しつつ自公連立政権の正常化を記者団にアピールした。
 衆院小選挙区「10増10減」を巡る候補者調整で、自公関係は大きく動揺した。国政選の比例得票数が減少傾向を示す公明が定数増の都県で積極擁立を図ったことに、自民側が反発。東京28区(練馬区東部)での公明擁立に自民が応じなかったことで、公明は「信頼関係が地に落ちた」と東京での協力解消を通告するに至った。
 衆院解散は「秋以降いつあってもおかしくない」(自民関係者)との見方が広がる。各小選挙区で「1万~2万票」とも言われる公明支持層の支援を頼みの綱とする自民候補も若手を中心に少なくない一方、小選挙区での公明候補の生き残りに自民支援が不可欠なのも事実だ。
 日本維新の会の動きに対しても、自公両党は神経をとがらせる。25日に維新は関西での公明との小選挙区すみ分けを解消すると決定。与党の足並みの乱れが各地に波及すれば、全国政党化をうかがう維新を利することにつながりかねない。
 各種世論調査で自公連立を解消すべきだとの意見も強まるにつれ、両党間では「政権の土台が揺らぎかねない」との懸念が浮上。「仲直りしなければならない」(萩生田光一政調会長)と、修復を急ぐ機運が高まった。27日の合意文書では、原案にあった「東京以外の選挙区について協力を推進し」との文言を削除。東京を含む全面的な選挙協力に期待をつなげる内容となった。
 自民執行部は今後、東京での協力復活に向け、29区(荒川区など)の公明候補支援を自民区議らに求める構え。しかし地元の反発はなお根強く、公明側も「自民都連の正式な陳謝がなければ、支持者に説明できない」(関係者)と、譲歩の構えを見せていない。
 山口氏は27日、東京での協力について「断念せざるを得ないということで次へスタートした。そうした姿勢で当面いくしかない」と記者団に語り、修復にはなお時間を要するとの認識をにじませた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts