総選挙へ駆け引き活発化 次期政権の行方混沌―タイ

東京, 1月25日, /AJMEDIA/

タイで5月までに実施される総選挙に向け、各党の駆け引きが活発化している。軍出身のプラユット首相は新党に参加し、続投を目指す考えを明言。親軍派に対抗するタクシン元首相派の最大野党・タイ貢献党は、タクシン氏の次女を「選挙の顔」として前面に出し、政権奪還を視野に入れる。世論調査では野党が優位なものの、首相職を獲得するには高い壁があり、次期政権の行方は混沌(こんとん)としている。
 プラユット氏は2014年、陸軍司令官としてクーデターを起こし、タクシン派政権を打倒して軍事政権を樹立。19年の民政移管に向けた総選挙では、親軍政党・国民国家の力党の首相候補に指名され、最大与党となった同党を中心とする連立政権を樹立した。
 しかし、国民国家の力党は20年に党首となったプラウィット副首相を次期総選挙の首相候補に内定。「国の課題を解決したい」と語るプラユット氏は、自身の支持派が結党したタイ団結国家建設党に加わり、同党の首相候補として総選挙に臨む考えだ。国民国家の力党からは、プラユット氏の支持者が続々と団結国家建設党に移っている。
 貢献党は、タクシン氏次女のペートンタン氏を3人まで擁立できる首相候補の一人にする方針。実業界出身のペートンタン氏は21年10月の党会合で初めて登壇後、毛並みの良さと巧みな演説で急速に人気を集めた。「次期首相にふさわしい人物」を尋ねる最新の世論調査では、34%の支持を集めてトップ。14%にとどまった2位のプラユット首相に大差をつけた。政党支持率も貢献党は43%で他党を圧倒している。
 ただ、次期首相は総選挙で選ばれる下院議員500人と軍政下で任命された上院議員250人の計750人の投票で決まる。上院議員は親軍派で占められ、野党が政権奪還を確実にするには下院で376議席を確保する必要がある。
 キャスチングボートを握るとみられるのは与党第2党・タイ誇り党だ。党首のアヌティン副首相兼保健相は軍ともタクシン派ともパイプを維持。前回総選挙後、与野各党から次々と議員を引き抜き、勢力を拡大するしたたかさも見せる。次期政権の枠組みは誇り党の動向が焦点となりそうだ。

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