米政権、ASEANに秋波 中国念頭に積極外交―首脳会議開幕

東京, 5月14日, /AJMEDIA/

12日に開幕した米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議では、バイデン政権がASEANに秋波を送っている。東南アジアは米中競争の「主戦場」の一つ。トランプ前政権下で冷え込んだASEAN諸国との関係を強化しようと積極外交を展開している。
 「ASEAN諸国の米製品購入額は計1000億ドル(約13兆円)近くに達する。今後5年でこの額は倍になる可能性がある」。米商工会議所のブリリアント副会頭(国際担当)は12日、ASEAN首脳との会合で連携深化を訴えた。
 6年ぶりの米国開催となった首脳会議で、バイデン政権はASEAN各国トップを手厚くもてなした。特に目立ったのは経済分野での厚遇ぶりで、米商工会議所の会合にはタイ米通商代表部(USTR)代表とレモンド商務長官が同席。タイ、レモンド両氏はASEAN側の関係閣僚と個別に会談も重ね、米国主導で今月下旬にも発足する見通しの「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について説明した。
 バイデン政権は今年2月、「インド太平洋戦略」を発表し、ASEANとの関係強化を宣言した。だが、国内雇用を重視する内向き志向から抜け出せず、トランプ前政権が離脱した環太平洋連携協定(TPP)復帰に慎重な姿勢を崩していない。
 バイデン氏が打ち出したIPEFも、TPPとは異なり、関税引き下げなどの米市場開放が含まれず、ASEAN側にメリットが少ないとされる。米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は11日、「多くの疑問があることは理解しており、可能な限りの回答を持って友好国に関与していく」と述べ、懸念の払拭(ふっしょく)に努める考えを強調した。
 「地域における米国のプレゼンス(存在感)復活の機運を高める首脳会議になることを望む」。AFP通信によると、インドネシアのジョコ大統領は12日、出席した関連会合でこう注文を付けた。ASEAN諸国は、バイデン政権の東南アジア政策の真摯(しんし)さを見極めようとしている。

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