立民執行部、求心力が低下 渦巻く不満、「党内政局」も

東京, 6月17日, /AJMEDIA/

 岸田内閣に対する不信任決議案提出を巡り、立憲民主党内で泉健太代表ら執行部への不満が広がった。岸田文雄首相が今国会中の衆院解散に踏み切らないと明言するまで煮え切らない態度に終始したためだ。求心力は一段と低下しており、反執行部的な動きも始まった。
 「今回の解散騒動は何だったのか。首相は自らの権限と影響力を理解していない」。泉氏は16日の衆院本会議で、不信任案の趣旨弁明のため登壇。首相が13日の記者会見で「会期末の情勢を見極めたい」と会期内解散に含みを持たせた2日後、一転して解散見送りを表明したことを批判した。
 今月に入って以降、立民の判断は揺れた。衆院選の準備が遅れる中、不信任案を出せば衆院解散を誘発しかねないと危惧したからだ。
 自民党幹部は不信任案提出について「解散の大義」になるとけん制。13日の首相会見が追い打ちとなり、泉氏は「最後まで検討する」などと判断を保留し続けた。
 これに対し、主戦論を唱えるベテラン議員は「出さなかったら表で暴れる」と警告。消極派の中堅は「解散の口実を与えるべきではない」と主張し、双方から執行部批判が高まった。
 結果的に不信任案を衆院に提出したのは、終盤国会で最大の焦点となった防衛費増額の財源確保法が参院本会議で成立した直後の16日正午前。立民内には「消化試合だ」と冷ややかな声が漏れた。
 しかも、提出は立民の単独。共産党と社民党は賛成したが、日本維新の会と国民民主党は反対し、野党陣営の分断を改めて印象付けた。
 16日は、共産党などとの選挙協力に否定的な執行部に方針転換を求める動きも表面化した。党内に一定の影響力を持つ小沢一郎衆院議員らが会見し、「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立したと発表。立民所属の衆院議員96人のうち50人超が参加の意思を示したと明らかにした。
 小沢氏は「野党間の協力が大事だと思っている人は大多数だ」と強調。小川淳也前政調会長は、会の主張に泉氏らが応じない場合は交代を求めるのかとの質問に「直ちに(執行部に対する)倒閣運動とは思っていない」と含みを残した。
 「これからは党内政局になる」。ある党関係者はこう指摘した。

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