沖縄振興費3000億円割れ 政権、選挙イヤーへ揺さぶり

東京, 12月23日, /AJMEDIA/

 政府の2022年度沖縄振興費は22日、2680億円程度とすることで決着し、10年ぶりに3000億円の大台を割り込むことが確定した。沖縄県知事選をはじめ、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設の行方を左右する重要選挙が相次ぐ22年に向け、地元に揺さぶりをかける政権の狙いが透ける。
 西銘恒三郎沖縄担当相は22日、鈴木俊一財務相と会談し、財務省案で2403億円だった沖縄振興費を2680億円に増額するよう要求。鈴木氏は「了解する」と応じ、折衝は数分で妥結した。
 沖縄振興費について、政府と県は21年度まで毎年3000億円台を確保することで合意していた。13年に仲井真弘多知事(当時)が辺野古移設のための埋め立てを承認した際、安倍晋三首相(同)が約束した。政府は移設反対派の翁長雄志前知事、玉城デニー知事の下でも約束を守ってきた。
 期限が切れる22年度予算編成を前に、県は早くから3000億円台維持を求めて動いていた。しかし、内閣府の概算要求は大台割れの2998億円。最終的な計上額は、前年度比11%の大幅減となった。使途を自由に決められる一括交付金に至っては、同22%減の762億円にとどまった。
 「県は総額要求ばかりで、具体的な事業の提案がなかった」。政府は減額理由をこう説明するが、辺野古移設に抵抗を続ける玉城県政の姿勢も無関係ではなさそうだ。玉城氏は国が移設工事継続のため申請した設計変更を11月に不承認としたばかり。来年は1月の名護市長選を手始めに、夏に参院選、秋に知事選が控えており、政権の意に沿わない対応が続くなら、さらなる冷遇も辞さないとの地元への「警告」とも受け取れる。
 玉城氏から直談判を受けた岸田文雄首相も、大台維持に動くことはなかった。「首相も厳しい姿勢だった」と関係者は明かす。こうした中、財務相が22日の閣僚折衝で増額に応じたのは、西銘氏ら沖縄県選出の自民党議員の「指導力」を演出する意味もあったとみられる。
 沖縄では大台割れに落胆が広がる。来年は沖縄の本土復帰50年の節目でもある。沖縄市で記者団の取材に応じた玉城氏はこのことに触れ、「新しい沖縄振興のスタートという位置付けだった」と強調。「このような大幅な減額は本当に大変残念としか言いようがない」と肩を落とした。

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