政権の抑圧、一段と 反体制デモ3カ月―イラン

東京, 12月16日, /AJMEDIA/

イランで女性のスカーフ着用強制問題をきっかけとする大規模な抗議デモが始まってから16日で3カ月たつ。これまでの治安部隊とデモ隊の衝突で400人以上が死亡したとみられ、当局は拘束者を短期間で相次いで処刑するなど抑圧的な対応を一段と強化。最高指導者ハメネイ師を頂点とするイスラム体制の打倒を求める動きを、断固封じ込めようとしている。
 イランでは9月16日、スカーフの「不適切な着用」を理由に風紀警察に連行されたクルド系の女性マフサ・アミニさん(22)が拘束下で急死。虐待を疑う市民が始めた抗議行動に人権や生活状況の改善を求める人々が加わり、デモ隊は各地で「ハメネイに死を」と訴えた。
 ◇1万5000人以上拘束
 これに対し、イランの政権は敵対する米国やイスラエルがデモを仕組んだと主張。スカーフの強制を巡っては、モンタゼリ検事総長が風紀警察の廃止に言及したものの、街頭では治安部隊が取り締まりを続けている。レーマン国連特別報告者は「これまでに(市民)1万5000人以上が拘束された」と指摘する。
 AFP通信によれば、このうち11人に死刑判決が言い渡され、首都のあるテヘラン州だけで400人が禁錮刑に処された。12月に入ると、少なくとも2人が「治安部隊への暴力行為」などを理由に相次いで処刑された。この2人は拘束から数週間で命を奪われた。
 ◇体制打倒は困難か
 イラン学生通信(ISNA)によると、改革派として知られるハタミ元大統領は今月6日、デモ参加者が掲げる「女性、生活、自由」のスローガンは「美しいメッセージだ」と述べ、デモへの支持を表明した。ハメネイ師の親族も、政権の対応は「専制的だ」とあからさまに非難した。
 ただ、国際社会ではこうした声が注目されるものの、デモによる混乱を嫌う市民が多いのも事実のようだ。デモへの支持は広がりを欠き、体制打倒は困難という見方が根強い。
 トルコにあるイラン研究センター(IRAM)のメフメット・コチ研究員は「ハタミ師らの支持表明は、イラン社会で大きな反響を呼んではいない」と分析。政権側は犠牲者の数を抑えるため、あえてデモ抑制に時間をかけており、「デモの規模は全体的に縮小している」という見解を示した。

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