対ロシア前面、東アジアも議論 軍備増強鮮明に―ミュンヘン安保会議閉幕

東京, 2月20日, /AJMEDIA/

ドイツ南部ミュンヘンで3日間開催された世界の外交・国防トップが集うミュンヘン安保会議が19日、閉幕した。国際秩序を一変させたロシアのウクライナ侵攻から1年を迎える節目が強く意識され、欧米各国はウクライナへの軍事支援強化の必要性を相次いで表明。東アジアの情勢を巡っても厳しい認識が共有され、世界全体で軍備増強の流れが鮮明になった。
 ◇兵器か対話か
 「勝利以外の選択肢はない」。ロシア打倒の決意を強調するウクライナのゼレンスキー大統領のオンライン演説で、初日の幕が開いた。兵器供与に慎重な姿勢で知られるショルツ独首相も、「主力戦車を(ウクライナに)供給できるすべての国は、今まさに実行すべきだ」と応じ、欧米で高まる支援強化の勢いを印象付けた。
 一方、中国外交トップの王毅・共産党政治局員は演説で「中国の方針は和平と対話の促進だ」と明言。ブラジルのビエイラ外相も「停戦につながる対話を促したい」と述べ、軍事支援を拒否。ウクライナ情勢への対応で、国際社会が一枚岩ではない実情も浮き彫りになった。
 ◇北ミサイルに緊張
 18日に登壇した北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は「ロシアの侵攻は欧州だけでなく、世界の秩序の問題だ。アジアでも起こり得ることだ」と述べ、台湾情勢などを念頭に中国への警戒感をにじませた。
 この演説の直前には北朝鮮が発射した弾道ミサイルが北海道沖に着弾。ミュンヘン会議にも緊張が走った。林芳正外相は先進7カ国(G7)外相会合で急きょ議題に取り上げ、「北朝鮮の無謀な行為には、国際社会による結束した対応を要する」と指弾する議長声明を発表した。
 ロシアの侵攻で冷戦後の世界秩序が打ち砕かれ、国際社会は軍事力の強化で安定を得ようと模索している。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は「防衛産業への投資が必要だ」と強調。ハリス米副大統領は「われわれは強くあり続けなければならない」と、力による現状変更に断固対抗する意思を示した。

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