安倍氏国葬、割れる賛否 国民理解へ説明継続―政府

東京, 7月23日, /AJMEDIA/

 参院選の遊説中に銃で撃たれて急逝した安倍晋三元首相を追悼するため、岸田内閣は22日、首相経験者の葬儀としては戦後2例目となる国葬を行うことを正式に決めた。市民や野党から反対の声が上がるなど賛否が割れる中での決定となり、9月27日の国葬に向け、政府は国民の幅広い理解が得られるよう説明を続ける考えだ。
 午前9時すぎに首相官邸で始まった閣議で、岸田文雄首相は「葬儀委員長は首相が務め、副委員長は官房長官にお願いする」と説明。松野博一官房長官は「葬儀は無宗教形式で、簡素、厳粛に行う」などと基本方針を示し、閣議は10分足らずで終わった。
 閣議の時間に合わせ、官邸前には市民ら数百人が集まり、「国葬反対」と抗議の声を上げた。参加した女性(33)は「安倍氏を特別扱いし、たくさんの税金を使うのは本当に許せない」と語った。21日には市民50人が閣議決定と予算支出の差し止めを求める訴えを東京地裁に起こしている。
 安倍氏の国葬をめぐっては、公明党が首相の判断を支持しているが、立憲民主、共産、社民各党などは反対を表明している。安倍氏は在任中、日本経済の再建に取り組んだ一方、集団的自衛権の限定行使を認める安全保障法制の整備は国論を二分し、森友・加計学園問題では厳しい批判を浴びた。安倍政権への評価は割れており、共産党などは「国葬によって弔意を強制すべきではない」と主張している。
 戦前の国葬令は1947年に失効しており、国葬には法的根拠がないとの批判も根強い。2020年に中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が営まれた際は、9643万円の公費支出が問題視された。党と折半の合同葬と異なり、国が全額負担する国葬への公費支出はさらに高額になることが予想される。
 政府は反対論への対応に追われている。松野長官は22日の記者会見で「国葬は国民一人ひとりに政治的評価や喪に服することを求めるものではない」と改めて説明。国葬の法的根拠は「国の儀式」に触れた内閣府設置法だとし、費用に関しても「真に必要な経費となるよう努めていく」と力説した。
 鈴木俊一財務相は会見で「もう決まったことだからと(説明を放棄)するのではなく、国民の理解を得る努力をしっかりとしていく必要がある」と説明を尽くす考えを示した。ただ、政府・自民党は、立民や日本維新の会が求める国葬に関する国会での閉会中審査には応じない構えだ。

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