北欧2カ国、NATO加盟機運高まる ロシア、核配備示唆しけん制

東京, 4月25日, /AJMEDIA

北欧のフィンランドとスウェーデンが、北大西洋条約機構(NATO)に近く加盟申請する公算が大きくなっている。ウクライナに侵攻したロシアの脅威から自国を守るため、冷戦中も維持してきた中立政策を完全に転換する歴史的決断となる。ただ、ロシアは核配備を示唆してけん制。欧州の安全保障は分岐点を迎えている。
 フィンランドのマリン首相は13日の記者会見で「侵攻で全てが変わった」と語り、加盟申請について「数週間以内」に決めると表明した。同席したスウェーデンのアンデション首相も「安保環境は完全に変わった」との認識を示した。
 フィンランド議会は20日、加盟をめぐる審議を開始。スウェーデン政府も5月中に安保政策見直しの報告書をまとめる方向で、両国が6月末のNATO首脳会議までに加盟を申請するとの見方も出ている。
 両国ではそれまで2、3割台だった国民の加盟への支持率が、ロシアの侵攻後に過半数を突破。加盟機運がかつてなく高まっている。NATO不拡大を主張するロシアが非加盟国のウクライナに容赦ない攻撃を加えるのを目の当たりにし、特に1340キロの国境でロシアと接するフィンランドでは、次の標的になりかねないとの危機感が広がる。
 NATO入りすれば、加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃と見なす集団防衛義務が適用される。フィンランド政府は13日に公表した報告書で「抑止効果は現在よりも大幅に高まる」と加盟の利点を訴えた。
 一方、ロシアのメドベージェフ前首相は14日、北欧2カ国が加盟すれば「国境は強化されなければならない」と主張。「バルト海周辺で核のない状態はあり得ない」と核配備を警告した。
 NATO加盟には全30加盟国の承認に加え、各国での批准手続きが必要だ。サイバー攻撃などロシアの妨害工作も危惧される中、焦点となっているのは、集団防衛義務が適用されないこの間の安全確保だ。
 北欧2カ国は既にNATOとの軍事協力を深めており、ストルテンベルグ事務総長は、加盟申請があれば「迅速に合意する方法を見いだす」と強調。加盟までの期間の不安にも対処すると約束しており、その具体化も両国の決断のカギとなりそうだ。

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