北朝鮮、食料難に危機感 コロナ・流通混乱が影響

東京, 3 月1 日, /AJMEDIA/

【ソウル時事】北朝鮮が深刻な食料難に見舞われている。食料の生産減少に加え、流通の国家管理を強める措置が混乱を招いていると伝えられる。朝鮮労働党は26日から農業問題を討議する中央委員会総会を開催。強い危機感を抱いているもようだ。
韓国農村振興庁の推計によると、昨年の北朝鮮における穀物やイモ類の生産量は前年比3.8%減の451万トン。必要量を数十万トン下回ったとみられている。気象条件の悪化に加え、新型コロナウイルス対策で2020年以降に国境が封鎖され、化学肥料の輸入が減少。国内でコロナ感染が拡大し、農作業に支障が出た影響も指摘される。
 さらに、昨年9月の党政治局会議で「党と国家の穀物政策執行を阻害する現象との闘争を強化する」と決定。民間市場での穀物取引を禁止し、当局が運営する販売所に一元化する措置を実施した。この結果、買い占めの動きが広がり、価格が上昇。食料事情の悪化に拍車を掛けたとみられている。
 金正恩総書記は中央委総会2日目の27日、「数年のうちに農業生産で根本的変革を起こす」と訴えた。しかし、韓国政府によると、既に一部地域で餓死者が続出。5~6月には昨年生産した食料が底を突き、さらに厳しい状況となる可能性がある。権寧世統一相によれば、北朝鮮は最近、世界食糧計画(WFP)に支援を打診したが、WFPが食料配給の監視を求めたため難航しているという。
 正恩氏は12年4月、初の演説で「人民が再びベルトを締め付ける(飢える)ことのないようにする」と誓った。それだけに、食料事情の悪化が続けば国民の不満の矛先は体制に向かいかねない。北朝鮮は最近のミサイル発射を逐一国内向けの党機関紙「労働新聞」で報道している。米韓の圧力を強調し、国内の困難から目をそらさせる狙いという見方も出ている。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts