世界の難民、10年連続増 1億人超が故郷追われる―仕事も制限「人間でないよう」

東京, 6月20日, /AJMEDIA/

 世界中で続く迫害や紛争で、故郷を追われる人が増え続けている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、国外に逃れた難民と国内避難民の総数が2012年以降増加の一途をたどり、ロシアによるウクライナ侵攻後の今年5月、初めて1億人を超えたと発表した。グランディ国連難民高等弁務官は「絶対に記録すべきではなかった数字だ」と危機感を表明。今月20日の「世界難民の日」に合わせ、各国に協力を呼び掛けている。
 ◇悪者扱い「フェアじゃない」
 「人間じゃないみたいだった」。シリア人のイブラヒムさん(32)は、母国で11年に内戦が発生した後ヨルダンに脱出したものの、限られた仕事しかできず、行動の自由も制限される日々を送った。日本政府によるシリア人留学生受け入れ事業を知り、留学生として18年に来日。現在は日本で働く。
 両親や兄弟はそれぞれ別の国に逃れ、9年ほど会えていない。ロシアによるウクライナ侵攻で避難を余儀なくされる人々を見るたび、自分の過去の姿に重なる。
 イブラヒムさんは「1カ月前まで自分の家に住む普通の人間だったのに、急に新しい場所、言葉、ルールの中で、悪者のような扱いをされる」と当時を振り返る。「こんなのフェアじゃない」
 ◇受け入れ国拡大が重要
 UNHCRの年次報告によれば、12年末の世界の難民・避難民の数は4270万人だったが、21年末には8930万人に達した。難民の出身国別では、シリア680万人、ベネズエラ460万人、アフガニスタン270万人の順に多い。
 避難の長期化で課題となっているのが、受け入れ国の対応だ。UNHCR駐日事務所の阿阪奈美副代表は「(受け入れ国の)大多数が途上国など(難民の出身地の)近隣国に偏っており、負担を軽減する必要がある」と話す。
 日本の難民認定者数は、1982年の難民認定制度の運用開始以降、915人にとどまる。ただ、17年度から留学生としてシリア難民を受け入れ始め、今年2月のウクライナ侵攻以降は、居住地を追われたウクライナ国民も避難民として迎えるなど、特例措置で対応している。
 このため、特定の国の出身者以外への門戸は狭い。同事務所は「(受け入れ対象を)どの国の人にも広げられるようにするには、継続的な在留資格の付与が課題になる」と指摘した。

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