下位が先にオーダー明かす新ルールの影響は 22日からTリーグ・プレーオフ

東京, 3月18日, /AJMEDIA/

卓球のノジマTリーグは22日から東京・代々木第2体育館で男女プレーオフが行われる。今季6チームで行われた女子は、木下神奈川か名古屋が勝てば初優勝、日本生命なら1季目から5連覇を果たす。4チームの男子は、1位の木下東京と2位の琉球で決勝を行う。レギュラーシーズンの勝ち点差によって、下位チームが先にダブルスなどのオーダーを開示する特別ルールがどう影響するかも見どころだ。
◇ダブルス育て初進出した名古屋
 女子は22日にレギュラーシーズンの2位・名古屋と3位・日本生命による準決勝を行い、勝者が26日の決勝で1位の木下神奈川と対戦する。
 5季目で初めてプレーオフに進んだ名古屋は、鈴木李茄と南波侑里香のペアが原動力になった。就任2季目の若宮三紗子監督は、全日本選手権女子ダブルス4連覇などの実績を持つダブルスの名手。今季は開幕からこのペアを20試合全てに起用して育てた。
 2人も期待に応えて12勝(8敗)を挙げた。1月以降の6勝1敗が成長を物語る。チーム13勝(7敗)のうち10勝はダブルスで先手を取り、安藤みなみ、鄭怡静(台湾)らにつないだ。1ダブルス4シングルスで行うTリーグで、1番のダブルスの重要性を端的に表している。
 日本生命は自力で3位以内に入る可能性がいったん消え、最終戦で滑り込んだ。早田ひな、伊藤美誠(スターツ)の2枚看板で「逆転」の5連覇を狙う。
 ただ、ダブルスは若い笹尾明日香、麻生麗名組を中心にしながらも固定できず、早田を5季目で初めて起用するなど、7人の選手を組み替えて戦ってきた。
 今季の対戦成績は名古屋の3勝1敗で、日本生命に早田と伊藤がそろった2試合も1勝1敗だった。
 決勝で迎え撃つ木下神奈川は平野美宇(木下グループ)、木原美悠(エリートアカデミー)を中心に石川佳純(全農)、長崎美柚(木下グループ)らを擁し、誰かが国際試合などで抜けても安定した戦いぶりだった。
 その中でシーズン終盤、ダブルスとシングルスで2点取りを期待して「エース起用」をされたのが、急成長する14歳の張本美和(木下アカデミー)だ。単複計16勝は木原の18勝に次ぐ。一発勝負の決勝で、中澤鋭監督がどんなオーダーを組むか。
◇先手取りたい木下東京、新天地で優勝目指す張本
 男子は23日が決勝で、木下東京が勝てば2季連続4度目、琉球なら2季ぶり2度目の優勝となる。
 木下東京は開幕当初の9、10月に1勝7敗と苦しんだが、世界ランク5位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)、及川瑞基(木下グループ)、篠塚大登(愛知工大)を中心に巻き返した。ベテラン大島祐哉(木下グループ)と篠塚のダブルスが13勝(2敗)を挙げ、先手を取れた試合が多い。2月に加入した林ユン(日ヘンに句の口が二)儒(台湾)も1位に貢献したが、出場試合数不足でプレーオフには出られない。
 琉球は木下東京から移籍した張本智和(IMG)が、シングルス13勝2敗の勝率を残し、2敗も1ゲーム勝負のビクトリーマッチだった。ダブルスでも組み慣れた木造勇人(個人)とのペアで6勝2敗。これに吉村真晴(チームマハル)、有延大夢、吉村和弘(個人)らの実力者がそろい、ダブルスは吉村和を軸にしたペアも使い分けた。
 レギュラーシーズンの対戦成績は木下東京の4勝3敗で、6試合がビクトリーマッチにもつれ込んでいる。張本不在の試合も2勝2敗だった。
◇上位チームは相手のオーダー開示を生かせるか
 注目されるのは今季、レギュラーシーズン上位チームに与えられるアドバンテージだ。両チームの勝ち点差に応じて、下位チームが先にオーダーを開示しなければならない。0~5点なら1番のダブルスを、6~10点なら2番のシングルスまで、11~15点なら3番まで、16点以上なら4番まで明らかにする。
 昨季の女子準決勝で2位に与えた、各試合1ゲーム先取のアドバンテージは採用しない。
 女子は名古屋と日本生命が勝ち点差3のため、日本生命はダブルスのペアを明かす。不動のペアで臨むであろう名古屋に対し、ペアリングを読みづらい日本生命の方が開示することで、名古屋にどの程度有利に働くか。
 決勝は、名古屋が進出すれば2番シングルスまで、日本生命なら3番シングルスまで開示する。受けて立つ木下神奈川の中澤監督が、層の厚さを生かせるか。
 男子は勝ち点差が3だったため、琉球がダブルスのペアを開示する。
 これで上位チームが相性などをうまく生かせればいいが、レギュラーシーズンでもオーダーの読みが的中したから勝つとは限らない。プレーオフは全ゲームにジュースがあるため、選手個々の経験や勝負強さも物を言う。
 19日までのWTT(ワールド・テーブルテニス)シンガポールスマッシュに出場した選手たちには、短期間の調整で臨む難しさもある。
 なお、下位チームのオーダー開示は試合開始の2時間半前をめどに行われ、ネットでも公表される。全てのメンバー交換は1時間半前。ベンチ入り選手は試合前日に発表される。また、プレーオフは3番のシングルスを終えて3-0なら4番は行わない。応援風景も「コロナ前」に戻りつつあり、白熱の好勝負が期待できそうだ。(所属の記載がない選手はTリーグのチームと同じ)(時事通信社 若林哲治)

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