ロシアとの距離に苦心 対米警戒で立場微調整―中国

東京, 2月17日, /AJMEDIA/

ウクライナ侵攻から間もなく1年となる中、中国は友好国であるロシアとの距離の取り方に苦心している。ロシアに巻き込まれる形で国際的に孤立する事態は避けたいものの、中国包囲網を強める米国をにらみ、ロシアとの関係と距離の近さは保つ必要がある。習近平政権は微妙な立場の調整を続けている。
 「中ロ関係に天井はない。給油所はあるが終着点はない」。ウクライナ侵攻直前の昨年2月上旬、習国家主席が北京でロシアのプーチン大統領と会談した際、筆頭外務次官だった楽玉成氏は中ロの強固な関係をこう表現した。楽氏はその後、畑違いの部署に異動。侵攻に関する情勢分析を誤った責任を問われたとみられている。
 中国では政府方針に反するロシア批判はタブーだが、ウクライナ侵攻を巡っては、中国を「戦略的窮地」に陥れるものだとの指摘が国内からも出た。習氏の母校である清華大の閻学通教授は昨年5月、香港メディアの取材に対して「(侵攻は)中国に損失を与えるだけで、何の利益ももたらさない」と明言した。
 中国は「ウクライナの主権と領土保全を尊重する」との立場で一貫しており、核使用にも反対している。一方で、習政権はロシアの侵略行為を明確に非難したことがなく、対ロ制裁にも加わらない。ロシア側の主張にも理解を示し、北大西洋条約機構(NATO)拡大に反対する、あいまいな立場を維持。経済面では、中国は対ロ制裁を続ける欧州に代わるロシアの資源輸出先となっており、戦費調達を間接的に支える構図だ。
 3年近く続いた「ゼロコロナ」政策の影響などで中国経済が低迷する中、米欧との関係安定化は習政権の急務だ。ロシアへの過度の肩入れは障害になりかねず、「習氏はロシアと距離を置きたがっている」(有識者)との見方も聞かれる。
 しかし2月初旬、中国から米国に飛来した気球を巡り、米中間の歩み寄り機運が一転して冷え込むと、中国は再びロシアとの関係をちらつかせ始めた。ブリンケン米国務長官の訪中延期が決定した直後、中国外務省は馬朝旭外務次官が2~3日にロシアを訪問し、ラブロフ外相らと会談したと発表。「両国間の政治的相互信頼は深まり、国際協力はより緊密になっている」と友好関係をアピールした。月内には、中国外交トップの王毅・共産党政治局員がロシアを訪問し、習氏の訪ロに向けた道筋を付けるとみられている。

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