「やみくもな延長おかしい」 原発肯定派住民も疑問―「最高齢」抱える福井・高浜町

東京, 12月22日, /AJMEDIA/

 今後稼働する可能性がある原発としては国内「最高齢」となる関西電力高浜原発1、2号機を抱える福井県高浜町では2016年、海を挟んで原発を臨む音海(おとみ)地区で、40年超の原発運転に反対する異例の意見書が採択されたことがあった。
 同地区には関電の関連会社などと関係の深い住民もおり、原発そのものに対してはおおむね肯定的。当時、意見書を提案した男性(75)も「国内の原発をゼロにして、電力がまかなえるとは想像しにくい」としながら、「60年超」の運転までが可能になりつつある状況に「やみくもな延長はおかしい」と疑問を呈した。
 高浜原発は1974年11月に1号機、翌75年11月に2号機がそれぞれ運転を開始。16年に原子力規制委員会の延長認可を受け、今後稼働する可能性のある原発としては国内で最も古い2基だ。
 地区の集会が意見書を採択したのは、延長が認可された年の12月。多くの原発が「設計寿命」を40年としていることを踏まえ、「なぜ(運転が)60年になるのか」と、当時の地区長に相談して提案。原発関連企業などで働く住民も含め、約50人から異論は出なかったという。意見書は町や県、関電に提出され、地区には運転延長に反対する看板も立てられた。
 しかし、反対の動きは長くは続かなかった。地区住民には周囲からの説得なども続き、約2年後には看板を下ろすことが決議されたという。
 「あの時、せめて数カ所でも他に意見書を出す地区があったら」と振り返る男性は、「60年超」運転への動きが進む中、再び意見書を出す気持ちはない。「国民のほとんどが無関心。今さら何をしても変わらない」と諦めを口にした。

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