NTT法見直し 大手通信3社 “公正な競争に懸念 慎重な議論を”

東京, 9月13日, /AJMEDIA/

NTT法の見直しについて、12日に総務省の審議会で大手通信各社のトップのヒアリングが行われ、NTTを除く3社は、見直しの内容によっては公正な競争環境が損なわれる懸念を示し、慎重な議論を求めました。

NTT法では
▽政府による株式の3分の1以上の保有や
▽固定電話などの全国一律のサービスの提供義務などが規定され、国際的な競争力を妨げているとしてその見直しが焦点となっています。

総務省の審議会で、8月から議論が始まり、12日は、通信大手4社のトップへのヒアリングが行われました。

この中で、NTTの島田明社長は「国際競争力の強化に向けて電話時代の規制やルールの見直しが必要だ」と意見を述べました。

一方、KDDIの高橋誠社長と、ソフトバンクの宮川潤一社長は見直しの議論の必要性に理解を示したものの、楽天モバイルの三木谷浩史会長を含む3社のトップいずれも、見直しに当たっては、公正な競争環境が課題だとして、慎重な議論を求めました。

特に、NTTが大部分を保有している光ファイバーなどの通信インフラで優位に競争を進める懸念が示され、国有化や、NTTグループからの分離が必要だという意見も出されました。

審議会では来年夏ごろをめどに答申をまとめる方針で、大手通信各社の間で温度差があるなか、今後の議論の行方が焦点となります。

NTT 島田社長「顧客に公正にサービスを提供していきたい」
NTTの島田明社長は、各社から公正な競争環境への懸念が示されたことについて、審議会の会合のあと記者団に対し、「ほかの会社と同じ条件で公正競争を踏まえてやっておりその形は維持していく。顧客に公正にサービスを提供していきたいと思っている」と述べました。

また、NTTが大部分を保有する光ファイバーなどの通信インフラの分野をめぐり、他社の間から、国有化やNTTグループからの分離が必要だという意見が出たことについて、島田社長は、「将来の日本のインフラを最先端の技術を用いて高度化させるのであれば、われわれがやったほうが絶対にうまくいく」と述べました。

KDDI 高橋社長「NTT法の撤廃には反対」
KDDIの高橋誠社長は、審議会の会合のあと記者団に対し「国際競争のためにいろんな法解釈を整備することについてはわれわれも賛成するが、基本的には、NTT法の撤廃については反対だ。NTTは公社時代から特別な資産を引き継いでいるがこれは、5Gや次世代の通信にとって非常に重要な設備でもしも法律の改正が必要なら公平競争の観点から議論することが重要だ」と述べました。

ソフトバンク 宮川社長「NTTはGAFAMには勝てない」
ソフトバンクの宮川潤一社長は、審議会の会合のあと記者団に対し、「NTT法は時代にあわないものがあれば、見直してもよいが、譲れないものもある。NTTが国際競争力を確保することが今回の論点の1つだが、NTT法を撤廃することがなぜGAFAM(がーふぁむ=アメリカの大手IT関連企業)に対抗することにつながるのかが分からない。そもそもNTT法を変えたところで、NTTはGAFAMには勝てない」と述べました。

楽天モバイル 三木谷会長「競争を阻害する要因になり大反対」
楽天モバイルの三木谷浩史会長は、審議会の会合のあと記者団に対し、「国の通信は生活必需のインフラであり、拙速な形でもう1回NTTが垂直独占型に戻ることは極めて競争を阻害する要因になり大反対だという話をした。NTT法で定められた情報開示によって国際競争力がなくなるというのは法律を改正するための言い訳にしか見えない」と述べました。

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