EV戦略への影響注視 米新法、日本勢に追い風?―自動車各社

東京, 8月22日, /AJMEDIA/

米国で16日に成立した「インフレ低減法」に、新たな電気自動車(EV)普及策が盛り込まれた。税制優遇制度を見直し、生産地や部品調達先を米国中心に切り替えることを促す内容のため、海外メーカーにとっては概して不利になると見込まれている。ただ、日本勢などの後発組には追い風となる可能性もあり、自動車各社はEV戦略への影響を精査している。
 トヨタ自動車はプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスプライム」などの一部車種が、税控除の対象から外れた。EVやPHVの購入者は最大7500ドル(約100万円)の控除を受けられるが、新法の成立によって、控除対象が北米で組み立てられた車に限定されたためだ。
 ただ、トヨタの場合、控除対象車の累計販売台数が規定の上限に達したことで、控除額が段階的にカットされる予定だった。このため、新法による影響は現時点では軽微にとどまりそうだ。
 日本メーカー製で引き続き控除を受けられるのは、日産自動車が米南部テネシー州で組み立てているEV「リーフ」のみ。しかし、控除の条件が来年から厳格化され、車載用電池に使われる鉱物などは一定量、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結ぶ国からの調達が義務付けられるため、先行きは不透明だ。日産は「新法を精査し、状況を注視している」と説明した。
 米国勢も影響を免れない。業界団体によれば、新法成立前は控除対象が米メーカー製を含め72モデルあったが、成立と同時に7割が対象外となり、残りも来年以降、控除が減額される見通し。控除を最大限受けるには、数年かけて調達網を変更する必要がある上、調達先が限定されれば、コスト増につながりかねない。同団体は、新法が逆にEV普及の妨げになると批判している。
 ハイブリッド車(HV)に強みを持つ日本勢は、EVの投入では出遅れた。先行する米欧や韓国の企業が新法への対応を進める間に、生産や調達の米国シフトを迅速に達成できれば、巻き返しのチャンスになる可能性もある。

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