15日に脱原発完了 エネルギー危機で賛否―独

東京, 4月14日, /AJMEDIA/

 【ベルリン時事】原発の段階的な廃止を進めてきたドイツで15日、残る3基が全て運転を止め、「脱原発」が完了する。気候保護やエネルギー安全保障が世界的課題となり、日本を含む先進各国が原発継続の必要性を打ち出す中、異例の対応だ。独国内では再生可能エネルギーの拡大に弾みがつくとの見方がある一方、電力供給への不安もくすぶっている。

 ドイツでは安全性への懸念から2002年に脱原発を法制化。一時は稼働期間の延長措置も取られたが、11年の東京電力福島第1原発事故を受け、原発廃止の方針が固まった。世界的に風力や太陽光など自然由来のエネルギーによる電力を増やす傾向は強まっているが、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さず、天候に左右されない安定電源として原発も重用されている。
 独政府は当面、自国で採掘可能な石炭の火力発電を維持する。22年の電力源は原発が6.4%、再生エネが46.3%。石炭火力は33.3%と前年から微増した。国家間の電力融通が発達している欧州において、ドイツは近年電力輸出国だったが、今後不足が生じた場合、原発大国フランスなどから電力を輸入する可能性がある。
 産業界では「(供給不足で)エネルギー価格が高騰すれば競争力が低下する」(電力大手幹部)との懸念も広がる。一方脱原発を主導した緑の党は、運営コストの増大や事故リスクを挙げ、「原発は最も高価なエネルギーの一つだ」と国民の理解を求めている。

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