金融課税、23年度以降に議論 岸田政権、格差是正の象徴―税制改正

東京, 12月10日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相が重要政策に一時期掲げた金融所得課税の強化について、10日に決定する与党税制改正大綱は「課税のあり方について検討する必要がある」と明記した。課税強化は投資家の意欲を損なうとして金融市場などに慎重論が多い。しかし、格差是正に意欲的な岸田政権の象徴として2023年度改正以降の検討対象に位置付けた。
 給与などの所得課税は収入が多いほど税負担が重くなる「累進課税」が適用され、税率は最大で55%。一方、株式譲渡益や利子収入といった金融所得は税率が一律20%となっており、収入全体に占める金融所得の割合が高いほど税負担が軽くなる傾向がある。
 日本の高所得者層は金融所得が相対的に多く、年間所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」をめぐり、金持ち優遇との批判もある。岸田氏は9月の自民党総裁選で、所得再分配の一環として金融所得課税を強化する方針を示したが、金融市場で懸念や批判が拡大。10月の首相就任直後に課税強化の先送り表明に追い込まれた。
 こうした状況下、与党の大綱は「公平性を確保する観点」で金融所得課税の強化を引き続き検討する重要性を指摘。一方、市場の懸念を踏まえ、「投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮」する必要性も併記した。
 大綱に検討するとの方針を盛り込んだことには、野党からの「公約先送り」との批判をかわす狙いもあるとみられる。
 証券業界などが長年求めている金融派生商品(デリバティブ)を損益通算の対象とする案の検討も23年度以降の税制改正論議に先送りした。

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