金融政策転換、焦点に 昨年はリーマン以来の下落率―23年の米株市場

東京, 1月1日, /AJMEDIA/

米株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化や景気後退への懸念に包まれ、重苦しい雰囲気での越年となった。代表的指標のダウ工業株30種平均は2022年末に3万3147ドルで取引を終え、前年末から9%近く下落。リーマン・ショックがあった08年以来の下落率となった。景気後退の足音が大きくなる中、23年は利上げ停止や利下げ開始など金融政策の転換時期が焦点になる。
 ダウ平均は新型コロナウイルス危機を受けた大規模金融緩和を追い風に大きく上昇し、21年末には3万6000ドル台と史上最高値圏にあった。コロナ流行でビデオ会議などの需要が伸びたIT関連の銘柄が相場をけん引した。
 22年に入り、歴史的な高インフレを抑えるためFRBが急速な利上げを進めたことで相場は反転。金利が急上昇し、ダウは一時3万ドルを割り込んだ。成長期待で買われるIT関連銘柄は、金利が上昇すると、将来の収益減少への懸念から売られやすい。ハイテク株中心のナスダック指数は年間で3割超下落し、コロナ流行後の上昇分を打ち消した。
 23年も金融政策に左右される展開になりそうだ。市場では、最近のインフレ率低下を受け、FRBが年前半に利上げを停止するとの見方が大勢だ。米銀大手バンク・オブ・アメリカのエコノミストは、米経済は緩やかな景気後退に入ると想定。「予想以上に失業率が上昇し、年内に利下げに転じる」とみる。
 FRBは「持続的なインフレ率低下を確信できるより多くの証拠が必要だ」(パウエル議長)と利上げを続ける姿勢を崩していない。米エコノミストは「FRBや市場参加者の間で、政策転換時期への考え方が定まっていない」と指摘する。
 急速な金融引き締めの影響は今後、本格的に表れる。市場では「短期的には企業業績の悪化が見込まれる」(米金融大手)と、さらなる株価下落への警戒感が強い。また「インフレが収まらなければ、利下げも財政出動もできない」(先の米エコノミスト)と、景気後退と株価低迷の長期化を懸念する声も出ている。

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