避難民、キーウでピザ店 ハリコフ逃れ、新たなスタート―ウクライナ侵攻1年

東京, 2月11日, /AJMEDIA/

 ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、住む場所を追われ、国内にとどまる避難民は535万人以上に上る。北東部ハリコフ州から逃れたアンドリイ・グディモフさん(30)は首都キーウ(キエフ)に移り住み、ピザ店「XA(ハー)」を開店、新たなスタートを切っている。働くのはハリコフから逃れた避難民だ。
 州都ハリコフで飲食業を営んでいたグディモフさんは昨年3月8日に新たなバーを同市にオープンする予定だった。しかし、ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻。避難していた地下のバー付近でも戦闘が起きたため、3月に妻と娘を伴い車でハリコフを脱出した。その後、住んでいたアパートは廃虚となり、戻る家はなくなった。
 ウクライナ最高峰ホベールラ山に近い西部の村に逃れたが、都市部で暮らすため6月にキーウへ。「当時、多数の会社や工場が拠点を移した西部は競争が激化していたが、キーウは人が少なくなっていて競争が激しくなかった」と振り返る。
 店名の「XA」はハリコフを意味し、若者の間で使われている俗語だという。販売するピザは長方形で、生地に厚みがあって軟らかい。グディモフさんは「学生が多いハリコフでよく食べられているものだ。安くて空腹が満たせる」と笑う。
 8月23日の開店初日にはハリコフ州出身者が多数訪れ、侵攻開始以降、連絡が途絶えていた知人に偶然再会した人もいたという。同州から逃れ、9月から働く従業員ムキタ・コチェトフさん(25)は「仕事をもらえたこと、キーウでハリコフを感じられる場所をつくってくれたことに感謝している」とグディモフさんに謝意を示す。
 グディモフさんは現在、キーウでピザ店4店舗を展開。ハリコフ州出身者約20人を雇用し、家賃も補助している。「経済を回していかなければならない。今は冬で人通りも少ないが、夏に期待している」と前を向いていた。

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