豪、9年ぶり政権交代も 21日総選挙

東京, 5月20日, /AJMEDIA/

 オーストラリア総選挙の投開票が21日に行われる。物価高や長期政権への不満などモリソン首相率いる与党勢力・保守連合に逆風が吹く中、最大野党・労働党が優勢を維持。9年ぶりに政権が交代するかが焦点だ。
 モリソン氏は、労働党が中国に対し「弱腰」だと指摘。政権交代が実現すれば、日米豪印の連携枠組み「クアッド」に影響を与える可能性がある。
 12日付の豪紙オーストラリアンに掲載された世論調査に基づく下院(定数151)の獲得議席予想では、労働党は80と過半数を上回る一方、保守連合は63にとどまる見通し。ただ、今週公表された別の世論調査では保守連合が猛追し、二大勢力だけで測った支持率は労働党が51%、保守連合が49%と伯仲している。
 「国をより良く変える機会を提供する」。労働党のアルバニージー党首は18日の講演で政権奪還に意欲を示した。選挙戦では現実的な公約を並べる一方で、政権批判に重点を置く戦略を取った。新型コロナウイルスのワクチン接種が当初遅れ、シドニーなど大都市がロックダウン(都市封鎖)に追い込まれたことなど与党の弱点を突いた。
 ただ決め手も欠いている。最近になり、党幹部が在豪州中国大使館の外交官らと会合を重ねていたことが発覚。モリソン氏の「弱腰」主張に説得力を与えた。
 これに対し、保守連合側はコロナ禍があっても、失業率が4%前後に下がった経済運営の実績などをアピール。しかし、18日に発表された統計で賃金の伸びが物価上昇を下回ったことが示され、「モリソン(首相)の下で生活費が急上昇する一方、実質賃金が急落した」と労働党から批判を浴びた。
 外交・安保分野では、覇権主義的な姿勢を強める中国にひるまず、原子力潜水艦を調達するため、米英との枠組み「AUKUS(オーカス)」を構築したと訴えた。豪州の勢力圏と位置付けるソロモン諸島が最近、中国と安保協定を締結。南太平洋における中国の軍事拠点となりかねず、豪州で警戒感が高まっている。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts