英、EU離脱の成果誇示 TPP加入、経済効果に疑問も

東京, 4月3日, /AJMEDIA/

 【ロンドン時事】日本など太平洋を囲む11カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)に、遠く離れた大西洋の島国である英国の新たな加入が3月末に認められた。2020年末の欧州連合(EU)からの完全離脱後、経済の低迷が長引く英国は、インド太平洋地域との貿易拡大を通じて成長を軌道に乗せたい考え。ただ、TPP加入をEU離脱の成果と位置付けたい政府・与党の政治的アピールが目立つ一方、実際の経済効果を疑問視する向きも多い。
「EU離脱後の自由がもたらす真の経済的利益だ」。TPP参加国による3月31日の合意後、スナク英首相は声明を発表し、EU離脱が無ければTPP加入は実現しなかったと訴えた。2年弱の交渉を経て巨大経済圏に加わることで「英国は今や世界経済において新たな雇用や成長、革新のチャンスをつかむ絶好の位置に就けた」と強調した。
 英政府によると、世界6位の経済規模を持つ英国がTPPに入れば、参加国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の12%から15%に高まる。英国にとっては食品や自動車など物品の輸出関税が減免されるほか、金融関連などサービス部門の市場拡大にもつながると期待されている。
 ただ、TPP加入が英国経済に与える効果は限定的との見方もある。英国はブルネイとマレーシアを除く全てのTPP参加国と自由貿易協定を締結済みで、英政府の試算では10年後のGDP押し上げ効果はわずか0.08%にすぎない。
 一方、予算責任局(OBR)によると、EU離脱は英国のGDPを長期的に4%程度押し下げる見通しだ。欧州国際政治経済研究所のデビッド・ヘニグ氏は「政府の宣伝は過剰だ」とし、EUとの関係改善の方が「はるかにメリットが大きい」と指摘している。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts