若手台頭に光明も…タイムは伸びず パリ五輪へ強化を【解説】

東京, 03月25日 /AJMEDIA/

競泳のパリオリンピックの代表選考を行う大会は、8日間の熱戦に幕を閉じました。日本競泳陣の国際大会での低迷が続くなか、複数の10代の選手がパリの切符をつかんだ一方、タイムは日本新記録が出ないなど伸び悩んだ印象もあり、オリンピック本番までのおよそ4か月でどこまで強化できるかが問われます。
(スポーツニュース部 記者 松山翔平)
若手が台頭“初の五輪は9人”
池江璃花子選手の病気からの復帰後、初の個人種目でのオリンピック代表内定や、ベテランの33歳、鈴木聡美選手の2種目でのパリの切符獲得などが注目を集めた今回の代表選考。

今大会でパリオリンピックの個人種目の代表に内定したのは男女あわせて19人と、日本水泳連盟の当初の想定とほぼ同じでした。
その中でも際立ったのが若手スイマーの活躍です。

男子400メートル個人メドレーの18歳、松下知之選手は29歳の瀬戸大也選手に勝って今大会第1号の代表内定をつかみました。
さらに
▽17歳の成田実生選手は女子400メートル個人メドレーで
▽同じ17歳の平井瑞希選手は女子100メートルバタフライで代表に内定するなど高校生が3人で、10代の選手は5人、大学生までを含めると9人がパリの切符を獲得しました。

初めてのオリンピックとなるのは半数近い9人です。
一方で、5大会連続のオリンピック出場を目指した34歳の入江陵介選手や4大会連続をねらった渡部香生子選手などは代表内定を逃し、世代交代を印象づけました。

今回、代表を逃した入江選手はエールを送りました。

入江陵介選手
「初めてのオリンピック出場という選手がすごく多いので、世代交代を感じる大会だった。フレッシュなチームで頑張ってほしい」
2大会ぶりのオリンピックとなる鈴木聡美選手は、みずからの経験を還元していく考えを示しました。

鈴木聡美選手
「“まだいるの?”と言われそうだが、私がしっかりチームを引っ張るつもりで、若手の選手たちにいい刺激を与えられたらと思う」

日本水泳連盟の梅原孝之競泳委員長は、その成果を語りました。

梅原孝之 競泳委員長
「新型コロナウイルスが収束してからすぐにジュニアの遠征や合宿を始めてきたが、それが芽を出してきたかなと思っている。若手の選手が代表に入ってきたことはすごくうれしいことだし、パリオリンピックでは、ベテランと共存したチームにしていきたい」

“記録は伸び悩む”日本新記録はゼロ
一方で、タイムは伸び悩んだと言わざるをえません。

今大会での日本新記録達成はゼロ。

これは派遣標準記録を切って2位以内に入ればオリンピック代表に内定するという、現在の代表選考の方式になった2004年のアテネ大会の代表選考会以降では初めてのことでした。

さらに2017年以降のオリンピックや世界選手権のメダル獲得相当のタイムにあたる「派遣標準記録I」を切った選手も1人もいませんでした。

梅原孝之 競泳委員長
「プレッシャーをかけてはいけないが『派遣標準記録I』のタイムに近いところにいる選手が今回、届かなかったことは、少し惜しかったなと思う。ただここから本番までにタイムを縮めることができれば戦えるチームになる。オリンピックまでの4か月で、日本新記録を上回るところまでいくことを期待している」

世界は金メダル候補の若手が“日本も強化必須”
世界に目を向けると、男子400メートル個人メドレーの世界記録保持者、フランスのレオン・マルシャン選手が21歳、去年の世界選手権で女子2種目で金メダルを獲得したカナダのサマー・マッキントッシュ選手は17歳と、金メダル候補の若手スイマーは次々と出てきています。

さらに中国なども有力な若手を相次いで送り出していて、国際舞台での日本の立ち位置は依然として厳しい状況だと言わざるをえません。

パリオリンピックまでの期間、日本水泳連盟は、国内外での強化合宿や海外での大会参戦などを計画していて、日本代表が一丸となって強化を進めていくことにしています。

オリンピック本番までおよそ4か月、さらにその先のロサンゼルスオリンピックも見据え、若手の台頭という光明をいかに前進させていけるかが日本競泳界の今後を占います。

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