米下院、接戦区減る 「ゲリマンダー」で二極化―中間選挙

東京, 10月31日, /AJMEDIA/

米中間選挙で、小選挙区制を採用する下院選(定数435)の接戦区が減少している。各政党が自党に有利になるよう区割りを決める「ゲリマンダー」を行ったためだ。支持基盤を固めさえすれば当選が容易になることから、過激な候補を生みやすく、米政治の分断を助長する懸念が指摘されている。
 ゲリマンダーとは19世紀初頭、マサチューセッツ州のゲリー知事が恣意(しい)的に線引きした選挙区の形が、竜のような怪物「サラマンダー」に似ていたことに由来する。政治家が有権者を選別する、米政治の「あしき慣行」とされる。
 今回の選挙では、10年に1度の国勢調査に基づき区割りが変更された。人口比例で配分された選挙区の線引きは各州が定める。選挙分析サイト「ファイブサーティーエイト」によると、新区割りでは民主党に有利な選挙区が六つ増えた一方、激戦区は六つ減った。
 当選がほぼ確実な選挙区では、自党の予備選を勝ち抜くため候補者の主張が極端になりがちだ。共和党「トランプ派」筆頭格のマージョリー・テイラー・グリーン氏や、民主党の急進左派アレクサンドリア・オカシオコルテス氏ら、反対派から「極右」「極左」とレッテルを貼られる議員を生む土壌となってきた。
 民主制度に反すると批判も多いゲリマンダーを巡っては、改善の動きも出始めている。ミシガンやコロラドなど一部の州は、区割り権限を議会から独立委員会に移管する制度改革を実施。ノースカロライナ州では共和党に有利な区割りに対し、裁判所が是正を命じた。
 プリンストン大の「ゲリマンダリング・プロジェクト」は、こうした変化により「過去数十年と比べると公平な地図になった」と分析しているが、米政界の分断を解消するには至っていないようだ。

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