米・イスラエル、溝が露呈 対パレスチナ強硬路線にくぎ

東京, 2月2日, /AJMEDIA/

中東を歴訪したブリンケン米国務長官は1月30、31両日、イスラエル、パレスチナ両首脳と相次いで会談し、双方で応酬が続く暴力の沈静化と自制を求めた。しかし、両首脳とのすれ違いが目立ち、米国の影響力には陰りも見える。イスラエルで史上「最も右寄り」のネタニヤフ政権が強硬なパレスチナ政策を変える可能性は低く、米国との溝も浮き彫りとなった。
 「(現状への)深い懸念が示され、実際的な措置への建設的な考えを聞いた」。ブリンケン氏は31日の記者会見で、歴訪の成果を強調した。一方で「双方が措置を講じなければならない」とも指摘。暴力の激化を防ぐための具体的な対応を促した。
 しかし、ネタニヤフ首相はアラブ諸国との国交正常化の進展が「(パレスチナとの)解決の助けになる」と従来の立場を堅持。パレスチナ自治政府のアッバス議長も「イスラエル政府に責任がある」と非難を強め、事態好転への道筋は不透明なままだ。
 イスラエルとパレスチナの緊張は、昨年12月に極右政党を含むネタニヤフ政権が発足して以降、急速に高まった。今年1月にイスラエル軍がパレスチナ自治区ジェニンで「対テロ作戦」を行い10人が死亡すると、イスラエル占領下の東エルサレムでパレスチナ人が銃を乱射し7人が死亡。暴力の応酬に歯止めがかからない。
 ブリンケン氏は、パレスチナ国家樹立を認める「2国家共存」支持を重ねて表明。「この目標を困難にするいかなる行為にも反対する」と述べ、入植地拡大など強硬路線を突き進むネタニヤフ政権をけん制した。
 ブリンケン、ネタニヤフ両氏は、イランの核保有を容認しないことでは一致した。だが、ブリンケン氏が共同会見で、イランとロシアの軍事的つながりを理由にウクライナ支援の重要性を語ったのに対し、ネタニヤフ氏はウクライナ情勢に触れず、互いの温度差が浮かぶ結果となった。

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