移住者呼び込む佐野ラーメン 「予備校」が開業サポート―栃木

東京, 8月17日, /AJMEDIA/

 栃木県佐野市が、ご当地グルメ「佐野ラーメン」の店を市内で開業する意欲のある人を呼び込む支援策を始めたところ、8世帯計18人の移住につながった。うち3店舗が新規開業し、繁盛店も生まれている。移住・定住促進と後継者育成も狙っており、市は手応えを感じている。
 佐野ラーメンは透き通ったスープと、青竹で手打ちした縮れ麺が特長で、市内に約150店舗ある。有名店には県内外の客が並ぶ人気だが、後継者がおらず苦労している店もある。
 一方で移住促進策に悩んでいた市は「住んでもらうには仕事の提供が必要」として佐野ラーメン人気に着目。経営ノウハウを伝授し、店主として市内に定着してもらう戦略を立てた。
 市などは2020年8月、取り組みの拠点として「佐野らーめん予備校」を開設。移住者は約2カ月間でラーメンの調理法や融資の受け方、従業員の育成などを学び、その後市内ラーメン店で働くなどして開業準備を進める。
 予備校は修業先を紹介し、空き店舗を活用した物件探しにも協力。開店前にはラーメン店主らによる試食会があり、味によっては開業を延ばす場合もあるという厳しさだ。
 取り組みの結果、秋田県などから市内に8世帯合計18人が移住し、3店舗が開業にこぎ着けた。このうちの1軒「晴れる屋」は、栃木県那須塩原市から移住し、予備校で修行を受けた小林隆宏さん(49)が21年4月に開いた。行列ができ、昼の営業で完売する日があるほどの繁盛店だ。小林さんは飲食店経営を考えていたときに予備校を知り、家族3人で移住。「基本的な所から教えてもらって良かった」と振り返る。
 こうした成果に市担当者は「佐野ラーメン全体の底上げになっている。『店が増えライバルも増えるのでは』と懸念する人もいるが、まだまだ伸びる」と手応えを語る。
 らーめん予備校は、国の地方創生推進交付金を活用しており、現行制度では23年度末で期限を迎える。その後は自己資金で運営しなければならないため、市はラーメン作り体験ツアーやグッズ販売など事業費確保策を検討している。

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