独戦車のウクライナ供与に不透明感 ショルツ首相「米国次第」

東京, 1月20日, /AJMEDIA/

攻撃力の高いドイツ製戦車「レオパルト2」のウクライナ供与に不透明感が出ている。ショルツ独首相は米国も主力戦車を提供することを条件としているが、米国は難色を示しているもようだ。両国は調整を進めているが、20日にドイツで行われるウクライナの軍事支援会議までに結論が出るか見通せない状況だ。
 南ドイツ新聞は、ショルツ氏が17日のバイデン米大統領との電話会談で、米国の主力戦車「エイブラムス」が提供される場合に限って、独戦車を供与するとの立場を明確に伝えたと報道。しかし、米国は現時点で提供の計画はないとみられ、カール米国防次官(政策担当)は18日、報道陣に「まだそこまでいっていないと思う」と答えた。維持管理が難しくウクライナには扱いにくいことを理由に挙げている。
 こうした動きに対してウクライナのゼレンスキー大統領は19日、「『別の誰かが提供するなら』と言って、ためらっている場合ではない」と反発。ロシア軍の再編成に警戒を強めており、早期の決断を求めた。
 レオパルト2を保有するポーランドとフィンランドが供与に前向きだが、引き渡しには製造国ドイツの承認が必要。武器支援の拡大は北大西洋条約機構(NATO)とロシアの全面衝突につながりかねないことから、ショルツ氏としては米国を巻き込むことでロシアをけん制し、衝突を回避したい考えとみられる。
 米紙ポリティコによれば、米軍は主力戦車ではなく、ストライカー装甲車や地上発射型誘導爆弾などの支援パッケージを用意しているという。19日にはオースティン国防長官がベルリン入りし、ぎりぎりまで調整に当たった。
 レオパルト2は「最も成功したモデル」(英シンクタンク)とされ、欧州に広く普及。ドイツが他国の輸出を許可すれば、ポーランドなどに追随する動きが広がり、戦局を変える可能性も指摘されている。

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