有権者の関心は経済対策 各党が公約アピール―タイ総選挙まで1カ月

東京, 4月14日, /AJMEDIA/

【バンコク時事】タイ下院(定数500)の総選挙は、5月14日の投票まで1カ月となった。有権者の関心は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済の立て直し。再選を狙うプラユット首相の陣営や、政権奪還を目指すタクシン元首相派の最大野党は、実績や公約でアピールしている。
タイ下院解散、5月総選挙へ 軍主導政権の継続焦点

 最大野党「タイ貢献党」は5日、バンコク近郊のサッカー場で党大会を開いた。タクシン氏の次女ペートンタン氏は、各党3人まで指名できる首相候補の1人として演説。最低賃金を現在より7~8割引き上げ1日600バーツ(約2300円)とするなどの公約を示し「貢献党が『地滑り的な大勝』を得れば、国家の危機を克服できる」と訴えた。
 別の首相候補で大手住宅開発会社前社長のスレッター氏は、16歳以上の全国民に1万バーツ(約3万9000円)の電子マネーを給付する公約を明らかにした。
 参加した小売業の女性(55)は「経営者だったスレッター氏が首相になり、経済を良くしてほしい。物価が高く、生活のための収入が足りない」と話した。日雇い労働者の男性(67)は、2014年の軍によるクーデターなどを踏まえ「タイを本当の民主主義にしてほしい」と語った。
 一方、クーデターを陸軍司令官として強行し、19年の総選挙を通じた民政移管後も首相を続けたプラユット氏を首相候補とする「タイ団結国家建設党」は7日、バンコクで党大会を開いた。プラユット氏は、タイ東部での経済特区設置などを実績として挙げ「引き続き政権を担えば、タイをさらに発展させられる」と強調した。
 支持者の女性(65)は「電気代の高騰を解決してほしい」と要望。クーデターについては「それまでは混乱ばかりで、国の安定には必要だった」と評価した。
 タイ経済は新型コロナの影響を受け、20年の国内総生産(GDP)成長率が前年のプラス2.3%からマイナス6.1%に悪化。21年はプラス1.5%、22年はプラス2.6%に持ち直したが、他の東南アジア諸国と比較すると回復の遅れが指摘されている。

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